Who drinks the purity at midnight?【中編】(18禁)| デリヘル×リーマン

運命は意外なところで飛来する。
それはやはり偶然なのか、それとも必然か。






















ぴんぽーん、







ホテルの部屋、備え付けのドアのチャイムだと気づいたのはしばらく経ってからだった。
結局、薄いピンクの名刺の宛先に掛けてしまった。
疲れているなら早く寝てしまいたかったが、それでは寝れないことがここ数日で分かってきていた。
身体は疲れているのに眠れないのはすっきりしない上に不快度指数が上がりっぱなしの熱帯夜に
あるだろう。




そう物思いに耽っていると、ぴんぽーん、ぴんぽーんと続けて音を鳴らされた。
せっかちな奴ではあるらしい。

扉を開けるためにベッドから降り、ドアの鍵を解除した。

そうしてドアの向こうから現れたのは。




「ドリンカーの銀でーす。どうぞよろしく〜」




やたら間延びした口調で話す、銀髪で天然パーマの男だった。








**


「は…?……」




確か自分は女を呼んだはずで、それなのにいざ蓋を開けてみれば男だったなんて。
なんの冗談だろうか。
自分の困惑知らずで、慣れた様子で部屋にずかずかと上がり込むと先ほどまで
締めてあったカーテンを引き開けて口笛なんて吹いたりしている。


「高いねェ、この眺めって相当値の張るものだと思うけど、…自分へのご褒美?」







「そういう訳じゃ…、…て。そうじゃなくって…てめーは何もんだ?」








「ご指名ありがとうございまーす、ドリンカーの銀ですってさっき名乗ったじゃん?」





「いやいやいや、部屋間違えてるって、おいっ」







ジェラルミン製の鞄を置くとマイペースに部屋を歩き回る男に意味も分からず神経を逆なでされた。
しかもペースを乱されるのは得意ではない。
今度こそ掴みだそうとして、テーブルの上の名刺を掬い取られた。


「…あれェ、本当に間違えちゃったみたい?」


「…そう言ってるだろうがァアアア、だから…ッ」







「番号、間違えて押したんじゃね?うちといちばん違い。下2ケタ…これ6だけど、うち0だもん」







名刺をひらりと見せ、ポケットから差し出された名刺を見比べれば
番号はそっくりである。それどころか、同じビル内であることまで。
くすくすと笑いだしながら銀は、傍までやってきていた。背丈が似ているのでその瞳は
紅いことをこの時初めて知った。





その瞳に覗きこまれて自分の失態も何もかもがどうでも良くなる。

そんなに楽しそうな目をしながら、その奥は何もないようにみえた。
その奥に浮かんだ得体の知れない感情に囚われて目を離す事が出来なくなった。





「…溜まったもの吐き出させてあげる。…名前は?」




なんて呼べばいい?と言われ、頭では危険信号が鳴り響いているのに唇は
勝手に開いた。





「…十四郎……」


「んじゃ、とーしろー君、よろしく」





そういって口端を吊り上げた銀にこれからすることへの羞恥で視線を逸らすのだった。






















「基本することは変わりねェの、…つーわけでそんなにガチガチになんないで」


土方をベッドに座らせて、ベルトを外す銀に下から覗きこまれて、頬に朱色がカッと上る。
カチャカチャとやたら耳触りな音にシーツを掴むと、雰囲気だけで目の前の銀が笑ったのを感じて
いたたまれず目を閉じるのだった。




「男同士の方がツボ心得てるからねェ、……まァとーしろー君は慣れてなさそうだけど」




「…な…慣れてな…くは…、…ッ」




そう断定する様に呟く銀の言葉に反感を覚えて首を振るが、すでに寛げられていた下着越しに
ペニスに口付けられ思わず尻を後ろに下げてしまった。
それに驚いたように顔を上げる銀と顔を下げてしまう土方の視線が絡んで。




くすりと銀は呪縛から溶けたように笑って、「…ほらね?」と声を潜めた。




それに土方はぎゅっと目を瞑ると、ベッドに倒された。スプリングの利いたベッドに沈むように
投げ出された身体からいつの間にかスーツの上着とズボンを取り除かれていた。
ベッドを軋ませながら銀が土方を跨ぐように覗きこめば、顔を逸らして唇を噛んだ。




「へえ、奇麗な顔に奇麗な身体、これで女っ毛がねぇなんてサギだろ…まさか不感症とか?」




遠慮なく触れる掌は案外柔らかく、爪も奇麗に切られていてワイシャツのボタンを
外されながらも意識させられる。
それでもワイシャツのボタンを全て外され、露わになる胸を撫でる指は
やはり女の手ではなく、男の手だと。




「……ッ…違…ッ、………ァ…、…?や、…何?」




「うん、今ので分かった。絶対不感症じゃないわ。ここ、感じるみてェ?」




銀の指が乳首に触れただけで擽ったい様なむず痒い感覚に背筋が痺れる。
そんなところ触れられたことがないから驚いてしまう。




「…くすぐってェ…、…ァ…ッ」




「意識しててよ、すぐにくすぐったいだけじゃなくなるから」




楽しげな銀を睨みつけようと薄ら目を開けるものの、キュと乳首を抓まれて
声が漏れてしまう。
土方は唇を噛みしめて目を再び閉じてしまうと、逆に今度は何をされるかが怖くなってしまう。
擽ったさと羞恥に身体が震える。シーツが太腿に触れればその内側の産毛すら総毛立つ感覚に
戸惑いを隠せないまま未知の快楽に引きずり込まれる。
それが怖くて頭を振ると、シーツに頭が擦りつけられて乾いた音が響く。

足を引き寄せるように足を立ててしまうと、乳首を指で抓んでいたそのままで
その箇所に生暖かいものが触れる。




「…ッ…は…ッ…ッ」







それが唇だと気づく前に、身体が勝手に背を撓らせて跳ねさせたのだから堪らない。
全く自分の身体だというのにどうかなってしまったんだろうか。
そうじゃなきゃ、乳首なんぞに触れられてこんな風に感じるなんて、理由が見つからなかった。




「ここ、性感帯つーわけ。今度一人でヤる時も弄ってみろよ、…いつもの数倍気持ち良くなる」




「んん…ッ、…や…」







首を振るが、それすらも相手はに拒否として伝わっていないだろう。
やがて濡れた音が響き渡って、びりびりとした刺激が身体を跳ねさせる。
目を閉じたままシーツを握りしめると身体の中心が熱く重くなっていくのに気づいて
目元に朱を昇らせた。

舌を使って乳首を舐め、もう片方の乳首は指腹で潰すように転がされる。
ざらついた舌の感触も、指の指紋も鋭敏になった感覚ではそれすらも拾いあげてしまう。
戸惑ったように銀に視線を向ければ、ふと笑みを深められた。

口端を上げてそっと身体の奥に火を灯すような笑みに熱はますます煽られてしまう。
それに感情が混ぜられて戸惑ったように向けた瞳が勝手に潤んでいく。
爪を立てられて、唇を窄めて吸われて初めての感覚に翻弄される。




「…、あ…、あっ…ッ」




洩れる声に咄嗟に口を塞いでも、掌から声は零れ落ちてしまう。
カリ、と乳首を散々歯を立てたり吸ったり、舐めまわすのに焦れたように身体はビクビクと震える。
シーツの上で逃げるように身体を捩らせれば、今度は掌があらぬところに置かれてがばっと顔を上げてしまった。


「へェ、…敏感。見える?紅くなってんのさァ」




「や…ぁッ、…違…ッ」







こんなのは自分じゃない。男に乳首を触られて、舐められて熱くしているなんて。
首を振りながら再び顔を埋めてしまうと、クスクスと笑みを零す銀に下着越しに
形をなぞるように触れられて背中が軋むほど反らして、口元にあった指を噛みしめた。

下着がじわりと濡れるのが分かっていながらも、指が触れる僅かな刺激すらも漏れる声を
噛む力に変えるのが精一杯だった。





「…あんまり噛むと血が出るって〜、…別にイイじゃん、声出した方がもっと…キモチ良くなれるぜ?」


流石に毀れた蜜が染みになる前に、片膝が無意識に立てられた土方の下着を
足から引き抜いてしまいながら呟く。
最後は暗示のような悪魔の囁くのような声音だった。
すでに身体を熱くさせていた土方の理性を取っ払うには充分過ぎる提案だった。










こくり、と喉が鳴る。


それはどちらの喉だったか。
















「ぁあッ…、…ゃああ…ッ…」







グチュ、濡れた音が響き渡る度にその音を追いかけるように土方の声が甘く響く。
銀の指先は的確で、ペニスを包み込んで強弱をつけ、揉んだかと思うと
亀頭部分を擦り上げていく。
昂ぶった熱を吐き出したくても、自分ではすでにどうしようもない様子で
土方は腰をゆらゆらと無意識に動かしてしまう。
限界までパンパンに膨らんだそれをあと少しで吐き出すことが出来るのに


後少しの所で再び柔らかく裏筋を指で擦り上げられてしまう。







「…ひ…ぁ、…あぁ、…な……、んで……」




「簡単にイっちゃったら長く遊べないでしょ?」







大丈夫、ちゃんとザーメンまみれにしたげると笑みで加えられた言葉に
キッと視線を向けるが潤んで赤くなった瞳では効果もないだろう。

根元を戒めたまま裏筋に浮かんだ血管をなぞられる。
もう片方の掌はまた乳首を潰すようにこねる。
二つ同時の責めに声が止まらなくなる。







「…んぁ…、ああ…っ、…あっ」




足を閉じようとするものの力が入らず無意識に立てられた膝が
外側に倒れてしまう。
理性を外してしまっても流石に淫らなポーズをとってしまったことに目をギュッと閉じてしまった。
乳首を弾いてから離すと根本を戒めながら長い指でダラダラと蜜が毀れる割れ目をきゅとおさえる。


声は媚びるように甘く溶ける。


泣き出しそうに歪んだ顔は堪えきれず銀の掌に押し付けてしまう下肢とは違い綺麗なままだった。










よだれを垂らして醜く歪んだ顔を何度も見た。
あんな醜悪に感じるものはない。


軽い驚きを隠せず感嘆の溜息をつくと戸惑いを浮かべた土方と
視線が絡んだ。

銀は曖昧に肩を竦めて誤魔化すと戒めを解きながら尖端に向かい扱き上げる。
その間に力の抜けた土方の足を持ち上げると内股に指を滑らせた。


欝血痕を残す様に持ち上げて開く内腿に口付けられるとそれが引き金となり
頭の中が真っ白になった。


「は、…あああァ―――…ッ!」







頭の中が白く塗りつぶされるのと同時に、銀の掌の中で固く張り詰めていたペニスが白濁を吐き出し
今まで味わったことのないような衝撃に内腿が細かく痙攣している。
その感覚にすら煽られて何度かにあわけて射精を繰り返すと吐精感が指先まで駆け巡って
全身を震わせた。
掌から己の腹へと零れ落ちる精液を気にしないまま、銀は口端を吊り上げていた。







「気持ち良かったんじゃね?とーしろー君」




すげドロドロだし、声可愛いと耳元に呟きが落とされれば
力が入らないまでもバシと横っ面を叩かれた。
大げさに痛がりつつ、肩を使って荒い息を零す土方を見やれば。










「…何、とーしろー君。マジ泣き?…え、どうしたの…?」


「…知るかよ…ッ」








毀れた双眸を覆う滴が頬を伝って流れ堕ちていく。
自分でも止められないのに、どうしてと聞かれても分からないものは分からない。
ただ喉を震わせて、体も頭もぐちゃぐちゃで涙は止まるすべを知らない。
戸惑う銀が苛め過ぎたかなァと冗談交じりで呟くのももう言葉として聞こえなくなった。




こんな商売としてきている奴に。


月のように乾いた己の心が満たされるなんてありえなかった。
快楽のままさっさと吐き出させてくれればこんな感情に苛まれなかったのに、
こいつの手が存外優しいから、指先が柔らかく触れるから。


自分がこんなに人の肌に飢えているとは気付けなかった。
気付けたとしてもこんなに気薄な関係なのに。





眠らない街が眼下で広がる。その空には月が万民を照らす。
この光が自分だけに注ぐことはあり得ないように、この満たされた感情は自分だけに
注がれることなどあり得ない。










そう、銀の赤い瞳に言われているかのようでみっともなく泣き続けた。








運命は残酷だ。


望もうと望まないだろうと、やってくるものだから。




























next lesson??