Thank you for Birthday!(15禁) | ホスト金時×警察官土方

*土方十四郎誕生日記念作品です☆(2010年度版)










5月に入った頃、GWの真っ最中であるため、地方からの客の回収に余念のないホストクラブで
仕事している金時は、毎夜毎夜白々と朝が明ける頃にやっと帰ってくると言う有様だった。
職場からも程近い自分のマンションに帰ったらいいのに、ほぼ毎日気付けば俺の横で寝ている。
"狭い、っつーの”そんな風に喚いても、金時は幸せそうな顔をだらしなくしながら眠っている。


今な顔を客の女どもに見せたら、忽ち幻滅するに違いない。
もふもふと、柔らかく跳ねた髪の毛を撫でれば、朝日に透ける髪の毛は金色そのもので。
それをずっと見ていたいと眺めていても、仕事への時間は赦してはくれない。
三度目の携帯アラームを切り、適当に食べて仕事に出る。


これだけの短い逢瀬でありながら、自分たちはすこぶる充実しているように感じていた。
と、感じていたのは数日のことだったらしい。
金時が現れてからと言うもの随分身体が貪欲になっちまったと思う。
欲しいと思えば与えられたそんな熱。
温かく優しい熱を感じながら、ふとそんな事を思い頭を振った。
金時の甘いコロンが左側から漂うようで目を閉じて、ゆっくり息を吸って吐いた。





いつの間にか現れて、いつの間にかいなくなる?


そんな未来が来ないことをいつの間にか祈ってしまっていた。
そんな自分が脆弱で弱すぎて心から好きになれそうになかった。
眠りについて暫くたってから、ふとそんな夢を見てしまった。
左側のこの位置を気にするようになった俺は、やはり脆弱な存在になってしまったのだろうか。





日付が変わる頃に近藤さんから電話があった。
跳ね起きて携帯に手を伸ばすと、業務連絡と明日の連絡だった。
こんなに我侭にさせといて、こんなときにいないなんて悲しい。
そんな風に思ってしまう自分が堪らなくなる。





「明日は、お前の誕生日だって言うのに悪いな」
「…あぁ、もうそんな日だったか?忘れてたぐれーだし、気にすんな」
もちろん俺の仕事にも連休などというものはない。
一応日本国に在住する以上、働くものは休まねばならないはずなのだが。
多くの人間が移動し、観光地に人が溢れているこんな時に犯罪は起きる。
盗難、空き巣のようなものから、果ては麻薬などの取引まで。





「こんなときは幾らなんでも休めばいいのになァ」
「馬鹿いうなよ、それこそ今更だろ?」
俺の言葉に違いない、と豪快に笑う近藤さんに少しだけホッとして身体を起こす。
金時が来るまでは仕事中心の生活で、それでもいいと思っていた。
それが少しだけ恨めしくもなる。
電話を切って肩を竦めて、息を吐き出すとそのまま頭を布団へと戻す。
ぽすん、と柔らかい音がして携帯を枕元へ戻そうと手を伸ばした途端に再び鳴り始める電話に目を見開いた。


「…まだ、…?」
『あ、十四郎。仕事の電話だったか?』
電話を掛けてくれていたらしい、というニュアンスで聞いてきたのは、ベッドを半分いつも占領する張本人だった。





『誕生日おめでと、十四郎。日付変わったから、さ』
「…………、おぅ」
スタッフルームなのか妙に静かな金時の背後に、気付きながらも潜めた声に近さを感じてベッドに寝転がる。
仕事というとゴリラに先越されちゃったかなァ、と素直に嫉妬めいた言葉を乗せる金時の言葉に小さく悪態をつく。
そんな風に素直になれたらいいが、自分はどうしても素直にはなれないところがあって。
それでも言いなんていって甘やかすから、自分ではできないことが増えていく。
あぁ、いつの間にか金時がいない生活は考えられなくなっている。


『…ねェ?何が欲しい?』
言ってみて、と呟く言葉が耳を打つ。





以前プレゼントと称して、馬鹿高いものを渡そうとする金時に困惑した。
金銭感覚が狂ってんじゃねェのか、と怒ってしまった。
それから金時はできる限り、俺の意思を尊重するようにしているらしい。





『プレゼントを渡せば、喜ぶようなガキでもなきゃ女でもねーんだよ』
『で、…でもさァ、これ絶対十四郎に似合うと思って…』
そういって買ってきたものはざらではない。
その気持ちは嬉しいが、同じように仕事をしている以上同じ男としてプライドは許さないのだ。
それは建前で、金時が買ってきたものに囲まれていると気持ちが落ち着かなくなるのが事実だったりする。
今着ているパジャマだって、スリッパも贈られたもので使い勝手がいいから使っているが。
きっとこれもいいものに違いない。
選択しても肌触りがあまり変わらない生地の良さにすりっと顔を押し付ける。
酷く落ち着かないのに、それは酷く落ち着く香りがして目を閉じた。


携帯を耳元に押し付けたまま、小さく息を吐き出した。
その呼気に何を思ったのだろうか、金時はさらに声を潜める。





『…お祝いなんだから、何でも叶えてあげる』
その声音にぶる、と身体を震わせると咽喉を鳴らしてしまった。
いつもなんでも我侭を叶えてくれるくせに、こんなときにも飛び切りに甘やかす。
いつも甘やかしてその手を離さないように、離れていかないように。
互いに必死で笑ってしまう。
だって欲しいものは、…互い以外にいないから。


「…欲しい、…早くお前が」
『……ッ』
息を呑むような金時の様子に、瞬時に頬に熱が上がるがそれを訂正する余裕もなかった。
訂正しようにも、これが本心だったから。
それから直ぐに金時が『直ぐ帰るから、このまま切らずにいて』という声が聞こえてきた。


自分が生まれたことを感謝するのは、きっとこんなときだと思う。
こんな存在に出逢わせてくれた、出逢うために生まれてきたのだから。










「ぁあ、ッ…ふ……ッん、…き、んとき…ッ」
「だぁめ、今日は王様みたいに命令して?…ドコに何が欲しいのか、…ちゃんとしてあげるから」
「…………ッはずか、しい…」
手の甲で顔を覆っていると、その手を引き剥がされてにィ、と笑われた。
そしてその手に口付けられ、布団に戻されてしまう。


「もっと凄いこと言ったくせに」
「…………ッ!」





切らずにいて、と焦ったように準備をする金時の様子を電話越しに聞くことになった。
帰り支度をして店を飛び出そうとする金時に店のマネージャーである新八からは困惑の声。
客の女の悲鳴のような引き止める声も何の抑止力にもならない。
バタバタと用意をして荷物をロッカーに詰め込んで店を飛び出す。
それから走る様子が伝わり、耳に電話を押し当てたまま小さく笑う。





「…んな、焦って来なくても、…」
「いやーだって、十四郎のアパートの近くのドラッグストアって閉まるの早いし」
電車の走る音が近くに伝わり、其処が駅のホームだと伝えてくれる。
なんて場所で、なんつーこといってんだと詰れば、何想像してんの、いやらし、と軽く返されてしまう。
それを詰ろうと思ったのに、ドラックストアに着いた金時が何かを探している様子に気付く。


「っていうか、なに探してんだ?」
「んー、十四郎のうちのシャンプー切れ掛かってたなーと思って。お、これこれ。頑固な癖毛をストレートに、とかいうやつ」
「…それ、お前の買い物じゃねーか」
それとお前の天パは根元から根性と一緒で捻じ曲がってて、シャンプーぐらいじゃ無理だろ、と告げる。





後、十四郎の部屋まで100メートルね、とカウントまでされて焦れてしまった。
トントン、と足音まで聞こえるのにまだこない、それに焦れて焦れて。


「早く、…金時」
そんな風に呟いてしまったのだった。
もう近くにいるにも拘らず、熱を分け与えるのではない、互いに共有しあう金色の獣が。








それから今に至る。





「あぁあ、…ゃああ…ッ、んぁ、ぁ…ッ」
「んー、ちゃんとさァ、何処に欲しいか言って欲しいんだけど」
聞こえないとばかりに顔を近づけられて、繋がった箇所をぴたりと腰を揺すらずにいるのに身体が燃える。
無意識にいい部分を押し当てるように緩く腰を揺すってしまう。
すると腰を逃がされ、閉じていた瞳を開いて睨むと熱に飢えた眸で覗き込まれ小さく息を飲んだ。
こんな存在に逢えること自体、貴重なこと。
それなのに熱を共有し、全身で俺を欲してくれる存在と出会えた。


「…俺は、十四郎を産んでくれたかーちゃんととーちゃんに感謝する、…なんなら挨拶に行こうか?」
「……」
俺と出会わせてくれてありがとうって、と満面の笑みを浮かべる金時が子供のようで笑ってしまう。
ひとの誕生日にそんな風にいってくる奴なんざいねーよ、そんな風に悪態をつきながらも幸せな気持ちが胸に広がる。


それは暖かで、金色の陽だまりの様だった。


シーツを掴んでいた手を離して金時の首の後ろに手を回すと小さく囁いた。





「…早く、てめーので、…奥までいっぱいにし、ろ…、…ッんん…ッひ…ッ」
「ちょ、いきなり爆弾投下は勘弁、ケータイゲームだってもう少しは余裕、あんでしょ」
「ぅるせ、…ッは、やく腰、ふれ、や、…ぁああ…ッ」
みちり、と内壁を押し上げた金時の熱の質量が上がったのを身体の奥で感じて指先まで痺れる。
しかし、今度はその熱が焦らされることはなかった。
それは自分が欲したからだろうか、身体の熱も心の熱も同時に弾けるため、激しい酩酊に襲われた。
それでも不安に思うことはなかった。





なにせ、しっかり金時と手を繋いでいたから。
その手を離すことはない、そして金時の力も緩まない。




だから息を切らして半ば意識を飛ばし金時に凭れかかった。










**







誕生日は、大切な誰かと出会う貴重なスタートの日。
巡り巡って、沢山の人と出逢って。

そうして辿り付いた先に、貴方がいた。





誕生日は、感謝をする日だ。







誕生日おめでとう。





そして、ありがとう。













HAPPYBIRTHDAY!!