Castles in the Air(18禁) | ホスト金時×警察官土方

たまの休日、されど一緒にいられる休日は少ないため、とても貴重だ。
それなのに、金時はどこかおかしいのだ。

話しかけられても上の空で眠いのか具合が悪いのかと思えばそうでもないし、
ただもの言いたげに時折返る視線は。
仕事で何かあったのか、それを愚痴りたいのなら話せばいいものを、
どこか遠慮がちな金時に此方も無理に聞きだせずにいた。
同じようにDVDを見始めたのはいいが、どこか上の空で画面を見ているのか何を見ているのか分からない金時にやがて此方も集中できなくなる。
「ダァアアア!言いたい事があったら言えやァアアア!」
「…ッえ、え?な、なにが?てかどうしたの?」
無駄に短気なせいで誤魔化す事も出来ずにそう叫べば、
ハッとしたように視線を此方に向けてくる金時にブチっと何かが切れる音がした。
胎の中を見せないのか美徳なのか何なのかは知らないが、それを俺に黙っているのはおかしいだろうが。
俺はてめーのなんなんだ?そう怒鳴りつけたい気持ちで胸倉を掴み上げれば、
金時は驚いたような顔をしながらも次第に表情を変えた。
どこか泣きそうな、そんな子供の顔に見えた気がした。
「…金、………」
「……今日は、甘えていい?」
思いっきり、そんな風に告げられた言葉は、切なそうに歪められた眸の奥に隠されていた金時の本心が透けて見えるようで。

それ以上は何も言えなかった。



「ぎゅっとしてて、…ずっと」
「ん、ぁ…ッ、ふぅ……、……ッ」
深くずぶずぶと埋まる金時の熱が身体中を焼いて、唐突に投げ出された快楽の坩堝に翻弄される。
否、唐突ではないのかもしれない。
がくがくと両脚が震えて、意識も定かではなくなる瞬間が訪れて、何も考えられなくなる。
それなのに、金時は何かに耐えるようにちらつく快楽に溺れていない、
その一歩手前で何処か意識を保っているのだ。
それに気付いて、眉を顰めると金色の髪を力いっぱい引っ張ってやった。
「いででででで!剥げる、ってかもげる!」
ソファーの上で事に及んで数十分、俺の熱を上げるだけ上げた上でそれでもまだ意識を此方に向けようとしない。
それでもされれば男の身体は簡単に反応するけれど、この熱に焼かれている俺がいるのだ。
何かあったなら話せばいいし、何もないなら早く集中しろというように強く睨めばきょとんとした金色の目が柔らかく歪んだ。
母親に叱られた子供のような顔で、それでもどこか嬉しそうなその顔に少しだけ胸が締め付けられる思いだった。

そう、金時がされたかったことが分かった気がして。

「…、―――ッィ…あ――ぁ…っ!」
狭い個所だと言うのに揺さぶられるままに、俺のナカは最早固くそそり立った金時の屹立に悦んでしまっている。
子供が排尿を促されるようなそんなポーズで両膝の下を支える金時の腕の強さに、それでも金時の首の後ろに回した腕の力は込めたまま。
ソファの上で金時と向き合って、背を仰け反らせてもしがみついているため、
そのまま金時を引き寄せることになり微妙に犯す角度が変わる。
更に金時が身体を密着させ、唇を乳首へと寄せればそのまま吸いつかれ、男であるのにそんな個所がどこか気が遠くなる程に気持ちがイイ。
金時の腹に再びナカを弄られることで勃ち上がった屹立が擦られ、こぽりと毀れる蜜が恥ずかしくて身体を捩れば更に身体を寄せられた。
「…ふ、…っあぁ…ッ!金、時…ィ…ッ」
「…、うん。とおし、ろ…、…」
互いに溺れたもののように息を吐き出しながら、互いの名前を呼ぶ。

それしか呼吸を紡ぐ方法がないというように。

しかし、互いに溺れるのならそれは、本望だと言うように互いの手を強く繋ぐ。
片方だけでは得られない快楽に二人は眩暈がするほど強く酔う。

金時の眸には俺だけしかおらず、その眸の中にいる俺も金時しか写してはいまい。
それが無性に恥ずかしくなり、眉を顰めて引き寄せた身体に顔を埋めると内壁を犯す熱が強く突き上げる速度が加わった。
自分がそれを望んでいたくせに、そうされることが無性に恥ずかしくなるのは金時が悪い。
内壁を強く引き締めてやれば、呻く金時の声は少しだけ苦しげでそれでいて艶めいた快感を滲ませていた。
「……、く、…ァあ…っ、ちょ、とおしろ…」
しかし、焦ったような金時の声音に優越を感じているのもつかの間、自分も育った金時の熱に翻弄されることになる。
ビクビクと身体を跳ねさせて、声を上げることもできないまま熱に突きあげられ内壁を擦るように蠢く固くて熱いものが彼を伝える。
「ぁああ――……ッひぁ…ッもぅ、…い、イク……ッ」
「ん、俺も……、」
濡れていやらしい音を立てる接合部分は収縮をして金時の熱を逃さないように絡みつき、尖端で前立腺を弄られると抱えられた両脚が痙攣する。
次の瞬間、金時の腹と自らの腹に挟まれていた屹立が熱いものを吐き出すと同時に、内壁や最奥に熱い飛沫が掛かるのを感じて目を閉じた。

思いっきり、甘えていい?の金時の言葉通り、その後ももちろん離してもらえなかった。
ソファで腰が立たなくなった俺を半ば抱きかかえるように寝室に連れていき、なし崩しのように再び抱かれた後は半ば意識を飛ばしていた。

金時は、俺が意識を失うまでそれこそ精を絞り出すように俺の身体を離さなかった。

眼が覚めたら理由を聞かなきゃな、と思いながら意識はたゆたう波のような眠気に飲み込まれていく。





金時は、俺が眠りについてからも俺を離さなかったらしく、眼が覚めれば、抱きしめるようにしがみ付く金時の姿があった。
左隣のシーツに包まる様にして眠る金時は寝息を立てて俺の身体を抱きしめている。
その姿は子供のようで、それでいて動物のようで痛む腰に湧く怒りがないわけではなかったが、それでもそっと腕を回す。
動物は、安心できる所じゃないと眠れないのだと聞く、どうして思い出したのかは分からないがそれを思い出し少し笑ってしまった。
そのまま金色の自由奔放な髪の毛をくしゃくしゃとかき混ぜてやれば、口を少しだけムニュと動かした金時がゆっくりと目を開いた。

その赤みがかった瞳に俺を映してゆっくり微笑む瞬間に少しだけ違和感を感じて、口付けをせがむように唇を近づければ避けるように笑われた。
「…寝起きに、襲うとか御巡りさんらしくないねェ?」
「誘導尋問が好みか?…、…金時」
「…べ、べつに何も……」
しどろもどろになる金時にらしくないと小さく息を吐き出すと、もう一度静かに「金時、」と呼んだ。

その声音に逸らしていた視線をそっと向ける金時は、少しだけ悪戯がばれた子供のように笑った。
「…勘がイイねェ」
そういうとこ、好きだよなんて言いながらも誤魔化せなかったのか少し笑った後に身体を擦り寄せてくる。
そう言えば少し身体が熱いような気がして手を伸ばして額を触れば、掌に少し熱い感触が戻ってきた。
掌が冷えているわけではなさそうだ、体調が悪いのを隠していたのかと眉を顰めれば掛け布団を口元まで引き寄せた。
もぞもぞと何処か言いにくそうにいうので、掛け布団を剥いで傍へと身体を寄せる。
まだ一糸もまとわぬ互いの身体は、そうするだけで互いの体熱を交換するようで布団よりも暖かい。
「テメーのことだ。どーせ、心配かけないように黙っとくつもりだったろ?」
「う、…、いや、タイミングがなかったつーか、…」
「…俺は、テメーの心配することも出来ねーのか?」
十四郎、と固まる金時に、言葉が止まらなくなる。
チャイニーズマフィアの抗争の影で消えた命の数々の中に、金時がいないか寒気を感じながらも必死に探した。
胡散臭い金時の雇い主が中国訛りの言葉で喋っていたのを記憶していたからだ。
突如消えた金時の足取りは一カ月近く離れ離れになってから完全に掴めなかった。
店には出ていたようだが、それ以降の足取りがまったく掴めない。
そうして、あの日ひょっこりと戻ってきたけれど、それでもふいに血の匂いをさせてきた日のことを思い出す。
電話先で心配かけまいとする金時の声音は少し震えていた、それにも自分は蚊帳の外だった。
目の前にいないことがこんなに苦しいだなんて。
こんな感情を一人の人間に思ったことはなかったから戸惑うばかりだ。
署内にも心配かけ通しの奴はいるけど、むしろ心配しか掛けてねぇ奴もいるけど、こんな風に思ったことはない。
むしろ心配かけるなと怒りたい位だが、金時に対する思いは違う。
心配かけまいとして隠すのならもっとうまくやればいいものを結果として俺にばれているわけだから。
(…もしかして、…)
ばれるためにこんな下手な芝居を打つのか?と閃いた言葉に、前髪を引っ張り強引に口付けを交わす。
すると先ほど違和感のあった下唇の内側に出来たものに舌を這わせれば、「い、」と声を上げる金時に微かに笑う。
「…ふ、…テメーの浅はかな嘘なんざ、…引き剥がしてやるよ」
分かりにくい金時の甘えに気付く俺も相当だが、相変わらず不器用な金時にも呆れてしまう。
金時は記憶を失った自分を知るものが名乗りを上げないことを酷く怖がっている。
自分は周りに何をしたのか。探されない自分は要らない人間だったのだと強く植え付けられている。
だから空虚で、何もないのに、強烈に誰かを求めていた。
その誰かは、俺じゃなかったのかもしれない。でももう離してやるものか、そんな風に思ったのは自分の業か。
俺も確かに、あの雨の日に誰かを強く求めていたのだから。
「…俺にも心配させろ」
「…、うん」


甘えていい?心配かけていい?そんな風に聞く金時の声音に互いにもう戻れない場所にいるのだと強く自覚するのだった。
それでも二人、その場で手を繋いで互いの耳と目を塞いで。