喉元過ぎた熱は今。│原作銀土。疲れたら頼ってもいい、そんな関係。

今日も今日とてテロリストを追い掛け回して
屯所に戻ってきたのは午前様になりかけた23時40分頃。


それでもまだ夜の内に戻ってこれたのは奇跡といえよう。
その位、数日間激務に激務を重ねた日の連続で、隊士共々
疲労困憊で、鬼の副長と言えども意識を保って戻ってこれたのが
信じられない風体である。




先に帰っていた隊士らに迎えられ、軽く食事を済ませ風呂に入り、
「休むので緊急時以外来るんじゃねェ」と言い置いてから自室へと
戻ったのだが。







(…なんでこいつが居やがるんだァアア?)



ついに自分は幻覚を見るほどに疲れてしまっているのだろうか。
部屋の中央に敷かれっ放しだった布団に横になって眠っているのは
銀色の天パがトレードマークの坂田銀時であった。
しかも深く眠っているのか、障子が開く音にも己が入ってくる音も
感知せずに眠り続ける。



銀色の獣か何かのようだ。
眠り続ける相手に最初はむかむかしたが、無防備な寝顔をこうも見せられて
1人激昂するのも大人気ないというもの。


それに、なんとなく、…何となくだが人の寝顔は落ち着くのだ。
己の側は安心すると言う事、暖かいと言う事、この獣はそれに感づいて
じゃれてきて時に眠る。







(こうやって寝てりゃ可愛げがあるのによ…)







そう呟くと1人照れて相手の側へとゴソゴソと移動した。
そのままじっと相手の眠る姿を見ていたのだが、眠る姿は落ち着く上に
眠気を誘う。
疲労困憊な己を自覚する事もなく眠りに落ちていく。











そして。







****

まだ朝と呼ぶには早いが、障子が庭に面しているせいか
部屋が明るくなるのが早い。
傍に暖かな温もりを感じて銀時は薄らと眸を開けて、僅かに見開く。
土方が己の腕の中で眠っていたのだ。


昨日手薄になった屯所の警備を逆手に取り、土方の自室へと
来たのだが、散らかったままの書類、敷かれたままの布団に激務を思った。
確か数日前に、これから忙しいと聞いていた。






組を二分するほどの内乱があった。

残った物は一体何だったのだろう。仲間を失い、それでも生き抜いた彼は。







(…土方君を待ってたらあのまま寝ちまって、…それから)






相手が身動ぎ、眠りを妨げないように身体を離そうとすると
得られた暖に擦り寄るように再び身体を寄せる土方に小さく笑って
抱きしめて目を閉じた。






「お疲れ様、土方君」








起きたら来た理由を徹底追求されるだろうけれど


それもどうかなっちゃうほど、相手の疲れがなくなればいいと思いながら。

ほんのり甘い、そんな第一弾。
後半を知っている方にとっては薄ら寒い、始まりにすぎないのでした(笑)