甘えたい病│原作銀土。屯所で無理やり休憩する銀さん。鬱陶しい。

「何にも出来ないけど、傍にいてくれるだけでいい」
そういってくれる人はどれだけいるだろう。
傍にいて欲しい、そう思っても中々そう相手が思ってくれるとは限らない。

だから、そういう存在は。





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「…だから帰れっていってんだろうが」
「此処は遊ぶ場所じゃない、でしょ?」
それはさっきも聞きました〜、そういって畳に転がってジャンプを読む体勢に
戻れば、蹴る気配がして転がって避けた。




「…チッ」
「今本気で蹴ろうとしてたよね、舌打ちしたよねェエエ!?」
当たり前だろうが、という顔で脚を下ろす土方にジャンプを抱えて
少し離れる。容赦がないんだからなァ、と思いながらも
他の奴らを呼んで追い出そうとはしない、その距離が気に入って
入り浸っている。


そう気付いて聞いたこともあったのだが、「お前みたいなのが出入りしている
ことが分かったら俺の立場も危うくなるんだよッ」と言い返された。
許してしまっている距離を直視したくないらしい。

いい加減もう割り切ってしまえばいいのに大概意地っ張りな彼は
距離を許してしまっていることを認めたくないといわんばかりに慌てて線を引く。
引き直してももうその線には意味がないわけで、上手く拒絶できずに
結局はなし崩しになってしまうのが嫌なのだと言いながらも、どうしようもない距離に
自分を入れてしまっているのが嫌で仕方ないのだ。





一人でいることに慣れすぎてしまって、人は他人があってこそ人になれるのだと知った。

周りに人がいなかったため、小さい頃は生きるために何でもやった。





獣が弱い獣を狩るように、食べ物のために。
そうしなければ自分という生が守れなかったから。
それが悪いことだなんて思わなかった。




人に出会えたことで、様々な感情を覚えていく。
寂しいと思うことも人に出会えたから芽生えた感情の一つ。
人の中で生まれ人の中で育っていく感情は、実は多岐に渡るのだ。
一人は慣れたと嘯いても、寂しいという感情は消えない。




(…此れからは、ずっと傍にいてやろう)
そういって伸ばされた暖かな手は、いつの間にか離れてしまった。
それからずっと周りに人はいたけれど、付きまとうのは”寂しい”という感情。










知らずにジャンプを置いて掌を握り込んで、その暖かな手を思い出そうとしても
出来なくて。そっと手を伸ばせば、暖かな手に握られていた。
それに目を瞬けば、いつの間にか傍まで来ていた土方に手を取られて目を瞬く。
黙って見返せば視線を向けないまま、火をつけた煙草を銜えた土方がそこにいて。
手は触れ合うけれど、身体は触れないそんな位置が少しくすぐったくって笑ってしまった。




「…何だよ、笑うんじゃねーよ」
「だってさァ、コレは笑うだろーが」
ぶくくく、と身体を九の字にして笑ってしまうと、振り返った土方の目元は赤く染まっている。







いつかこの手も離れていってしまうかもしれない。
いや、近い将来離れていくだろうけれど、
この暖かな気持ちで生きていけると思いたい。

あの時サミシイ、と思った気持ちはこの暖かな手に繋がるのだと。
この手が証明してくれる気がして力を込めて握り返すと、軽く力を込めてくれる。




「しけた顔してんじゃねーよ、アホが」
「…しけた顔ってどんな顔〜、銀さんわかんないんだけど?」
まだ笑いながら聞き返せば、バシッともう片方の手で叩かれた。




なんだかんだで甘やかし上手で、困ってしまう。
失ったら寂しくて泣いちゃうじゃない、そういって唇を緩めると掠め取るように口付けた。
すると一瞬驚いたような顔をした土方は、柔らかい唇で何度も口付けし返してきた。




そのまましばらく二人で笑ってしまって。
暖かな気持ちを共にする時間が貴重だと思えたのだった。







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傍にいてくれるだけでいい、そういってくれる存在じゃなくても
傍にいるのを許してくれる存在があればいい。
それだけで生きていける、単純な存在なのだ。































It wants to be a depending such existence to forgive each other's that but there is not.

極たまにこの病気に侵されてどうしようもないほど寂しくなります。
銀さんはそんな時も素直に甘えられてるのかな〜と。