掌からの思いに耳を傾けて。│原作銀土。沖楽絡めた手をつなぐ話。

※煉獄館の後日談的な話になれば良いな、と思いながら。

 






「ねー銀ちゃん、私疲れたアル」







そうごねた神楽がことの始まりであった。


いつものように買出しに出かけ、いつものように食べ物に甘い二人の買出し班は
無駄遣いと後で新八に怒られようが知るかッの勢いでその手にアイスキャンディを持ち
食べながら、買い物袋をぶら下げ歩き出した。

その矢先、荷物が多いのでスクータで来なかった自分を責めているのか
(本当はガソリン代を惜しんだだけだ)文句をたれる神楽を振り返った。




「銀さんだって疲れてるんだよォ?お前が抹茶か小豆か迷ってる間にどれだけ・・・」

「ジャンプ買い忘れて戻っただけアル。歪曲すんなよ、マダオが」


「…どうしてそんな子に育っちまったんだろうねェ、パピー泣いてんぞ?」


「育ててもらった覚えもないアル」




口の中で溶けるイチゴミルクキャンディの甘さがなきゃ叩いてやった一言である。
軽く溶け出したそれを啜って、もはや歩く意思も感じられない神楽に大げさに溜息を吐き。










「ほら、早く帰んぞ」


「イヤアル、もう歩けないアルよー」




傘を差してしゃがみこむ神楽とそれから押し問答をした挙句、往来で立ち止まる二人に
奇異な目を向ける人も多くなってきた。
それに子供のように応戦していたが、次第に暑くなる日差しの中でそれ以上立ち止まっているのも
しんどいと先に折れた。




「…あぁ、もうわかったつーのッ!!荷物あるから手ェ繋いでやる、それでどうだ、このヤロォオオ!!」










それで神楽の機嫌が直ったか否かは、手を繋いでスキップし始めた神楽を
見れば自ずと知れ。

さっきまで歩けねェとかいってなかったか?と揶揄れば、レディに過去を聞くなんてみっともないアルと
逆に返されて嘆息した。
食べてしまったアイスの棒を咥えたまま、片手に神楽と繋ぎ、もう片手に買い物袋をぶら下げて歩き出す。










結局子供には甘いと言われたばかりの様な気がする。
女子供には、と駄目押しまでされた。
それを言ったのは誰だったか。













「おーや、旦那ァ。昼間っから援交ですかィ?」




そう考えてると暑そうに上着を肩にかける茶髪と、不機嫌な顔してタバコを咥えた黒髪の
真撰組の隊服に顔を上げた。

思ったとおり出くわしたのは土方と沖田であった。巡回中とはいえ、二人の服装は対照的で
それなのによく二人で組むのは気が置けない仲なのだろう。
土方はこちらを見て一瞬だけ嫌そうな顔をしたが、すぐに視線を逸らしてしまった。







「こんな乳臭いガキ、誰が金なんて払ってやるかよ」


「お金払われてもこんなマダオはいやアル」







神楽の声と重なった自分の声。
それに小さく噴出した土方の笑い声を見逃さなかった自分はえらいと思う。




神楽は好戦的な声音に鋭く切り込みをいれ、買い物袋をその場に置いて沖田に向かって駆け出す。
それを軽く交わし、傘を受ける沖田の目も好戦的に目が輝いており、楽しげな様子が伝わる。
それを見送ることになった自分は、とりあえず物は壊すなよーと声を賭け
土方に視線を向ければ、土方もそれに気づいたように「むきになるんじゃねぇええ」と
怒鳴るがすでに、二人の喧嘩は始まっており二人を遮れる一言ではなかったようだ。







「てめーと会うといつもこうだ・・・ほら、早くチャイナつれてどっかいけや」




口に含んでいたアイスの棒を買い物袋へ入れると、土方に再び視線を戻すと、それに気づいていたかのように嘆息交じりの声。


ずいぶん勝手な言い分ではあるが、もはや手に負えないのだと知れ。







「それは俺の台詞だっつーの、早くサド王子と仕事に戻れや」







そういいながらも二人に割って入らないのは、割ってはいると無傷ではいられない事もある。
それよりも、機嫌の良くない土方の横顔を眺めてピンと来た。


女子供に甘いと、言ったのは土方だった。
寝物語にとこないだ子供の依頼で、甘味を振舞ってやったと話してやったら
そう棘のある言い方をされたのだった。


(あれは、棘じゃなく、・・・嫉妬?)


鬼の依頼の時も、シールで子供の依頼を受ける何ざと散々言われたのだが。
心配してくれているのか怒っているのかわからないと真意を探っていた。

まだ燻っているように二人を睨み付けてイライラとタバコに火をつける土方の
手に手を触れさせれば「ァ?」と怒ったように視線を向けられた。





「・・・なァ、訂正してくれる?」


「あぁ?・・・何、言って・・・」





「俺は女子供にじゃなくて、お前に一番甘いってね」





そういうと土方の薬指だけをするりと繋ぐようにギュッと力を込めれば
ギョッとしてこちらを見返す視線に笑ってやる。


「……ッ」







とたんに自分の台詞を思い出したのか、赤くなる土方に手を開放するも手の甲は触れる距離で。
小さく、自惚れンな、と呟く声が聞こえるもののその声音は弱い。




再び手を繋いでも、今度は抵抗もしない。
掌から伝わる温もりに、ただくすぐったい様な幸せが残るだけ。










この後、20代の男二人が手を繋いでいたという事実は、往来で喧嘩していた(破壊していた?)二人に
呆れたような目で見られ、蔑まれたというが、それは後の話である。













掌から伝わる思いが互いに伝わって。




絡む指先に思いを託して。

沖楽を挟んだ銀土のお話も凄く好きなんですよねェ、もう花見とかRPGの回とか天国でした。
沖楽は銀土よりも喧嘩っプルであってほしいかな〜。