Guilty│原作銀土。題名通り、罪には罰を。

罰には制裁を。
それは、この世の理。





秩序は守られなければならない。
そうでなければ混沌とし、安全の脅かされた生活になるからだ。
ただ閉塞的に守るのではなく、それは自由の許された秩序?
過保護ではなく、放任ではなく、手を離した見守る自由。
それは人が人間であるべき姿なのだ。
そして、それは自分たち警察が此処に在る、ということもそうだ。


罪に罰を。
その形が、俺たち警察という存在を肯定している。






**






俺たちは始めから付き合うといって付き合っているわけではないし、
今だってその自覚はからっきしない。
からっきしないから、約束事を作る必要は特に感じていなかった。
しかし、関係をもっていることを知られるのは至極不本意で、自分も認めていない関係であるから
余計詮索をされるのも面倒で、昼間は往来で話しかけるな、

と何度目かの床を後にした、朝に言い放った。


すると万事屋はきょとんと自分を見返した後、小さく吹き出しながら言った。


『じゃ、約束な』
『…約束…?』
立てられた小指に目を瞬いて見返すも、結局絡められた小指に目を瞬いてしまいながら頷いた。


『指きりげんまん、約束破ったら…、…何しよう?』
そういった万事屋のあざとい笑みに、自分はどう答えたのか覚えていない。




それから床を一緒にする度に約束事が増えていく。
まずは往来で昼間話しかけるな、だったか。殆んど自分からの要望のような約束事だった。


ある日、万事屋が約束事を一つ、と言って囁いた。
珍しい万事屋からの約束事に少しだけ興味が引かれた。
気だるげに煙草を吸いながら、冷めていく身体を持て余し

万事屋の戯言に耳を傾けるでもなく聞いていた。


『…ね?…長く会えない時は教えて?』
じゃないと、町で探しちゃうからさァ、と首を傾げる万事屋に仕事以外ならな、

と曖昧に返事したのが運の尽きだった。


仕事以外でこの街から離れることは絶対無い、そうその時までは思っていたのだった。




『じゃあ、…約束、ね?…約束破ったらァ…、…』
そう言って唇を歪める、万事屋の顔は覚えているのに

そのペナルティについての決まりごとがごっそり記憶から抜け落ちていた。


どうしてだかは分からない。


どうせろくでもない事だろうと決め付けて、忘れる機能が働いたのかもしれない。
そんな約束事など必要がない。


なぜなら自分は。









そんな約束事ふと思い出したのは宇宙船の帰り道だった。
煙草を結局吸う事は出来ずに、余計な労力を使っただけだけで。
禁煙デーなんてなければ、自分は有給を使ってまで地球を離れることはなかった。
そう思うと怒りが沸々とわいてくるが、それは吸えないからの禁断症状だけではなかった。
きっと、約束を違えたことで、鬼の首を取ったかのように

ネチネチ嫌味を言われるんだろうと顔を顰めた。
だから、罰のほうをすっかり忘れていたのだ。


仕事だと言い含めればいいだろうと思いながら地球へ降り立った…のだが。




「よォ、聞いたぜ?…おたくンとこのサド王子から」
宇宙ステーションから降り立ち、どうやって戻ろうかと思いながらタクシー乗り場まで歩くと。
その場に原付に凭れた万事屋がいたのだ。
そう聞いたとき、始めて自分がしてしまった罪に気付いたのだった。
ホッとしたような、しかし怒っているような万事屋の瞳に目を瞬き、そして観念したのだった。










「…ちょ、…何す、る…ッ、んんッ」
ほぼ何も言葉を発さない万事屋に、原付に乗せられて連れ込まれたのは、

連れ込み茶屋のような簡素な部屋。
タン、と背中で戸が閉まった音を立てたと同時に、噛み付かれるように唇を塞がれ息が吸えなくなる。
慌てて押しのけようとするも覗き込む赤い眸は、獣の如く本能に燃えていた。




「なァにって此処まで連れ込まれて、…説明されなきゃ分かんない?」
「…な、…」
赤く濡れた唇は互いの唾液だと分かっていながら、情欲を擽られる。
長旅で疲れていて、煙草も吸えないときたら精神も安定的ではなかった。
それなのに、しばらく触れなかった身体の奥がぴりぴりとひりついてしまう。
手に力をこめようとすれば、そっと身体をその寸でで離され目を瞬いてしまった。
視線を強く向ければ、万事屋は視線をそらすことなく此方を見返して言い放った。




「…期待すんじゃねェつーの。…約束破ったら…?」
なんつった?と挑発的に聞かれ、睨んでいた視線に迷いが生じてしまう。
どうせろくなことではないと思って捨て置いた約束。
長く会えないことが分かったなら、連絡すること。
その前に何か万事屋に言われたのではなかったか。
言いよどんでいると、まァいいかと唇を歪めた万事屋に後ずさってしまう。





ドン、と背中にふすまが当たる。それに肩を震わせると唇を歪めた万事屋はふと笑みを零した。
しかし、その笑みに油断することは許されなかった。
次の万事屋の言葉で。




「…じゃあ、俺の膝の上に乗って?」
「?」
右手側にケツね、と言う万事屋に首を傾げながら、逆らえぬ響きの言葉に
従い膝を跨ぐようにして乗ると軽く右手で尻を撫でられ視線を向ける。




「悪い子には、…オシオキー」
「………、…ッ」
自分はとんでもない約束事をしてしまったことを思い出したのだった。













着流しを中途半端にはぐられ、下腹部を剥き出しにされた。
その格好にすら屈辱的で顔を上げられない。




「ちょ、…なに、す…」
「言ったじゃーん?…約束事を破ったらお仕置きしてもいいって」
言い出したのはそっちでしょ?と言われれば黙るしかない。
そういうお前だってよく街を離れるじゃないか、と言っても自分はそんな約束をさせたことがない。
自分の約束は精々自分の保身以外の何者ではない類の。
そう思うと舌打ちをして黙るしかない。
結局は自分の保身のためにしか働かなかったのだから。




しかし屈辱的なポーズを取らされ、この格好はまるで。
スースーする尻にまさか、と視線を向ければにィ、と笑う万事屋と視線がかち合った。




「オシオキ、はこれでしょ」
「…ッ…、い、た…ッ」
ぺし、と掌が振り下ろされ尻を打たれる。
悪さをした幼子のように尻を打たれる罰に顔に血が上る。
小気味のいい音が響くが、神経のさほどとっていない部分を叩かれているため然程痛くはない。
それがまた、幼子のような扱いで全身が羞恥に熱くなる。
膝を折って万事屋の膝に乗りかかるようなポーズで尻を叩かれる。
羞恥に目の前が赤くなりながら、下から睨み「ヘ、ンタイ…ッ」と吐き捨てれば
目を細める万事屋が膝を浮かし、晒されていた下腹部を膝で押されびくと身体が震える。




「お尻叩かれちゃったぐらいでさァ、…此処固くしちゃう方がよっぽど」
ヘンタイじゃ、ね?と咽喉を震わせて膝頭で自身を押し潰すように力を込められる。
その隙に再び尻が打たれびくびく、と全身を震わせてその罰に顔を上げられずに息を吐く。
なにに怒っているかわからないが、万事屋の瞳に宿るのは安堵と怒り。
なにに対しての怒りかと思ってしまう。
約束を違えて何も連絡をせぬうちに遠くにいってしまったことは認める。
それが自分の罪だと言うのなら、自分がこの身に受ける罰は相当のものなのか。




「…たく、心配させるんじゃねェつーの」
きょとんとして動きを止めれば、はーと大きく息を吐き出されて視線を向けてしまった。
禁煙デーだなんていうからさァ、お前困ってるだろうと思って探せば
宇宙に行ってるとか言うじゃん、煙草を探しに、それを言われたときちょっとむかついたと言うか、

と説明され目を瞬いてしまう。


自分たちはそんな関係ではないはずで、と言う思いがどんどん遮られていく。







「…欲しいものぐらい、自分で・・・、取りに行くんだよ、…バーカ!」
「馬鹿っていったほうが馬鹿なんだっつーの。…、・・・じゃ欲しいもの言ったら?」
すり、と膝頭で再び自身を柔らかく突付かれて震えてしまう。
叩かれた尻がひりひりと焼いていくのが伝わり、咽喉を震わせながら、

視線を向けられずにででもしっかりした声音で呟いてみせた。







「、ん。…、も、っとちゃ、んとしろ…っ」
「へ・ん・た・い、なんだからァ、ちゃんとお仕置きして、なんて」
「…ッち、違…ッ」
分かってる分かってる、なんて言いながら

自身の根元を指先で戒めるように力を込める万事屋に身悶える。


じゃ、今からは大人のお仕置き、と笑った万事屋に今度こそ眩暈がした。
上目で睨み付けるもののもはや逆効果というところか。








それから。




「ぁあ、…ッん、ゃだ…ッ、やだって…ッ」
嫌がっても恥ずかしがっても、中々許してもらえなかった。


酷く啼かされ、連絡せずに江戸を離れぬまいと誓いながらも
万事屋の気持ちを知ることが出来た気がして。



















唇を小さく吊り上げたのは、どちらか。
















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罪には罰を。
それはこの世の理。

お尻ぺんぺん、で御座いました。色々生ぬるい感じがするのは、まだ初心者だからですかね。
案外お尻ぺんぺんって痛くない割りには羞恥プレイで御座いますよねェ。