世界の終わり(18禁)│原作銀土。どの世界にも終わりがあるもので、それを終わらせる必要もあるんだなぁと。

*時間軸的に紅桜編の後、新八の道場から脱出した後といった感じです。





何気ない日常に何気ない空気のような存在に。



道端で会えば、視線が合えば笑い返して。
(君は笑わないだろうけど)



飯屋で会ったら、互いの味覚に言い合いをして。
(絶対あの味覚はおかしいと互いに思ってるよな)



サウナで見かけたら、いつの間にか隣に座って下らない意地の張り合いをして。
(意地っ張りなところも気に入ってはいるけど)




いつの間にか、傍にいて。
いつの間にか、掛け替えのない存在になった君よ。





どうか。





**





いつもは寝汚いほど寝ているというのに、流石に2日も身体が動かせないとなれば
いい加減寝るのにも飽きてくるというものだ。


刀傷は思ったよりも深く、それだというのに要塞のように固められた新八の
道場から命辛々戻ってきたら、今度は高熱を出してぶっ倒れた。
確かに何度も入った感触のある深い傷で、絶対安静を言い渡されたのに
それでも無茶した自分を突き動かした性分に、右手を握って息を吐いた。
それは理屈ではない衝動のようなものだから仕方がないらしい。




新八は、心底呆れた様子で戻ってきて甲斐甲斐しく俺を看病している。
自分だけがこんなに怪我するのに引け目を感じるのだろう。
しかし、紅桜の標的になっていたのは己であり、新八が感じるべき感情ではない。
痛む身体をおして新八の頭を撫でてやった。
子供に対する仕草だったが、それで新八は嬉しさを隠して怒って着替えを枕元に置いていった。


「…く、…いててて、ちょ、…まだこんな早いのかよ…」




痛みに目が覚め、あまり寝てはいないが、すでに人は起きて働いている時間帯だろう。
いつもなら寝ていては新八に怒られる時間であることは間違いない。
身体を起こすと職場兼居間へと顔を覗かせるものの新八が来た様子もなく
肩を竦めた。
何かあったか、端に気遣ったのかはわからないが。と机を見れば新八の字で


“依頼を受けたので神楽ちゃんと行ってきます。ちゃんと薬飲んで下さい。”


そんなメモが残されたいた。
定春もいないのできっと少し遠出だったのだろう。


熱は微熱程度に下がっているはずだが、体が重たく感じるのか気のせいなんかじゃないだろう。
何か腹に、と立ち上がったところで玄関のチャイムが鳴った。







(お妙か…、差し入れとかはいらねーなァ…)





しつこく鳴らすチャイムに、はいはい〜と気のない返事をしながら痛む身体をおして
玄関を開けに行けば。


「多串君…?」


制服ではない、黒い着流しを着てこちらを見ていたのは。
真撰組の鬼副長の土方十四郎だった。




その瞬間手に持っていた白い箱を顔に向かって投げつけられて、咄嗟に顔で受ける羽目になる。




「ちょ、おま、あぶねーだろうがァアアア」




「…フン、自業自得だろ、…あがるぞ」





そう言って自分の横を通り過ぎて部屋にあがっていく土方を見送れば、直撃した箱を
器用に手に受け止めて、鼻を近づけてみた。




(…、一応見舞い……のつもりなのかね……?)


ぶつけるのはどうかと思うが、それはそれでツンデレという奴なのかもしれない。
白い箱の中身はケーキ。甘い生クリームの香りと持ってきた人物のギャップに
思わず顔が綻んだ。




すでに居間の長いすに座っている土方の手には煙草がない。
それに不思議に思いながら、苦めのお茶を淹れて戻るとやはり手持無沙汰にそわそわしていた。







「この部屋禁煙じゃねーし…、吸ったら?」




目の前にお茶を置いてやりながらそう進言すれば、チラと視線をこちらへと向けた後
「別にいい」と呟いて茶を啜った。
横に腰掛けながらその横顔に視線を向ける。




見舞いのつもり、ではなく見舞いだったのだろう。




だったら、最初から様子を自分で見に来たらいいのに、と思うけど口にはしない。
それはそれはジミー君に泣きながら口止めされたからだ。
要塞から逃げる際にジミー君に出くわしたのだが、伝言とともに理不尽な上司の話を聞いた。
流石に見張られていたとは良い気分ではないが、命令とあれば従わなければ隊としては成り立たない。




紅桜について真撰組はどこまで知っていたのか。


辻斬りの事件がぱったりと止めば、攘夷派の衝突と関連付けるのが道理であるし、
その時期に大怪我をしてぶっ倒れてたら、流石に関連付けるだろう。

聞かれたらなんと言おう、いつもの会話で煙に巻いてしまおうかと口を開きかけた
矢先に、茶を飲み終わった土方が視線を寄こした。


「…なァ、…その傷は…、…平気なのか?」







寝てた方が楽なら寝てればいい、と付け加えられて軽く眼を瞬いた。
これは、本気で心配してくれたのかもしれないと思い当たる。





「割と平気なんだよね、…最近は物騒だからさァ、今度はちゃんと後ろ向きに歩いて帰るわ」




こうやって鬼の副長さんが見舞いに来てくれるんだし、案外役得?と笑みを含めれば
バシと頭を叩かれた。


「調子に乗るなッ、…そんなに元気ならいい。…邪魔したな」










睨む視線に少しだけ切なく眇められた光を見た。


だから手を咄嗟に伸ばした。





その光を消したくて。




立ち上がりかけた土方の腕を掴んで、小さく笑った。


「…まだ、そんな顔じゃ帰せねーよ」







そのまま引き寄せて耳元にそう囁き、名前を呼べばそれだけで触った掌の
熱が上がった。
それに衝動が突き動かされるままに己の唇で唇を塞いだ。


驚いたような顔が案外幼く見えて可愛かった。








**





緩く熱が溶けるようにしばらく吐息が重なる。
声を押し殺しているが息までは消せないから、結局は密やかな声を上げる結果になっている
土方を見上げれば、体制が恥ずかしいのか目を閉じたまま腰を揺らしている。




「…は…ァ…、…ぅん………ッ」




ソファに押し倒したら、「怪我してるくせに無茶すんな!」と怒られたので
この体勢になったのだが。
土方は自分の言葉の失敗に気づいていなかった。
この体勢じゃなければ無茶は許すのだと言外に言われているよう。
笑う自分に誤魔化そうとするものの、それを聞き逃してやるほどできた人間ではない。
気づいた時には、土方を腹の上に乗せてソファに寝転んだ。







「だったらさァ、…そっちが無茶してよ?」


ねだるように続けた言葉に唇を噛み締めるものの結局は欲に
忠実な男の身体は、触れていなかった時間を帳消しには出来なかった。
まぁ頑張れ、と無責任に土方の唇に伸びあがって口付ければ、
噛み付くような口付けをし返された。


性急気味に身体を繋げば、初めは身体を動かすことも出来ずにソファの縁に
手を絡めたまま震えていたが、次第に先走りを零す己の屹立にの
潤みに助けられるようにして、徐々に土方の腰が落ちてくる。


その度に深まる繋がりに溜息のような声を漏らしてなるべく己の身体に
負担をかけないようにつま先に力を込める。







「は…ぁ…、……く……ッ……ンン」


尻の感触が太腿に触れるようになり、一番太い部分を飲み込ませれば覚悟を決めたように
最後まで埋めてしまえばそれだけで全身汗だくになってしまった土方に小さく笑う。
動物的であるけれど、夏になると何かと嫌がる原因になるかもしれない。
と、クーラー購入を本気で考える。




手持無沙汰に土方の屹立に指を絡めてやれば、既にこちらも熱を含んで尖端より
だらだらと透明な蜜を零していた。
尖端を指腹で擦る様に動かすと、腰を揺らしそれがまた埋めた己の屹立に
内壁を擦る結果となった。







「…ッあ…ッ、アア…―――ッ」




「…つぁ、…ぎゅうぎゅう締め付けてさァ、…熱くて狭くて、…サイコウ」





突き入れるように余りの悦楽に逃げ腰になる土方の内壁に腰を僅かにあげてやれば
その場に縫い付けられたように再び腰を落として理性を無くす。
土方が悲鳴のような声を漏らすのを聞きながら、今此処が何処で、朝であるとか昼なのか
それすらも忘れて与えあい、求めあう。
いつしか土方の指はソファではなく、己の刀痕を包帯の上から辿るように
なぞっていた。
まるで知らない傷はつけるなというように、指で消すように辿って。




その動きに瞳を眇めると、土方の屹立から指を外して両手で腰を掴むと
上下に激しく揺り動かした。
それに土方は身体を一瞬だけ硬直させたものの直ぐに両眼は溶けて潤ませた。







「ひ…ッ、ああ、…アッ、…ふ、…かい……ッや、…あアァ…!」




背を撓らせて己の腕の動きに合わせて腰を揺らす土方は、もはや声を殺すこともできずに
快楽の波に浚われていく自分を自覚できない。
それを助けることもせず、同じように溺れる己は傲慢なんだろうか。
しかし、この思いが真実ならば己はこんな嘘だらけの世界に一つだけ確かなものを
持つことになる。


支えなくとも勃ち上がったままの屹立からは白濁が混じり限界を知れば
腰を激しく突き上げながら、相手の腰をめちゃくちゃに動かしていく。
逃れられない悦楽を前に背をこれ以上ないほど撓らせた土方は、絶頂の
声を上げて白濁を吐き出した。その時、内壁は蠢いて収縮を繰り返し、己の屹立を
強く引き絞りそれに奥まで突き上げ同じく白濁を内壁に注ぎ込んだ。




「アァ―――…ッ、……ッ、…!」




「…く…ッ…は…ッ、…はぁ」







内壁に叩きつけるように注がれた白濁に押し出される様に達している最中だと
いうのにまた新たに白濁交じりの蜜を零す土方の身体を支えるように両手で抱き締めた。
焦点の合わない瞳で暫く荒い息を繰り返す土方もそれに気づいたように包帯の巻かれた
背中に腕を回した。







**




けだるく空気を纏いながら、風呂上がりで顔を向けられない土方を観察しながら
持ってきてくれた形の崩れたケーキを食べる。
熱が上がったかもしれないが、心の奥で燻っていた悪い熱は消されたような気がして
すっきりしていた。


再び黒い着流しを纏った土方は、再び煙草を探しているのか落ち着きなくニコチン中毒
だなァと声なく笑みを浮かべる。




「…なんだよ…」




「いや、お前がどんな顔してこれ買ってきてくれたんだと思うと嬉しくてー」


美味いけど、食べてみる?とクリームたっぷりのイチゴを差し出せば
嫌がるかと思いきや、口を開けてイチゴを食べる土方に一瞬目を瞬くものの
美味しいでしょ?と続ける。




「…、当たり前だろーが、…俺が買って来たんだからな」







そう光が戻る瞳でそう宣言するように言われれば頷くしかない。
満足げに唇を舐める土方の唇を再び唇で塞ぐとクリームとイチゴの味のする口付けをしたのだった。

























いつの間にか予定されていたもののように、ここで起きる必然。




道端で会えば、視線が合えば笑い返して。
(君は笑わないだろうけど)




飯屋で会ったら、互いの味覚に言い合いをして。
(絶対あの味覚はおかしいと互いに思ってるよな)




サウナで見かけたら、いつの間にか隣に座って下らない意地の張り合いをして。
(意地っ張りなところも気に入ってはいるけど)





そんな日がいつまでも続くとは限らないけれど。
時が二人を分かつまで、いや分かつ時が来ても。











この思いに果てはない。






Whom do you consider a world end to be?

紅桜編を始めてアニメで見たときに、無性にこれが書きたくなったので忠実に書いてみました。
土方くん不足だったから、とかそういうわけではない、濃厚さで失礼しました(笑)