cherry heart│原作銀土。これはブログで行った桜企画の小話作品です。

差しつ差されつ、宵の口。

桜が目にも鮮やかに映って。










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「桜の花ってさァ…」

そう話しかけて宵の口、足を止めた銀時を見上げた。
酔い覚ましに二人で公園のベンチに座ったのだ。
喧嘩だか仲がいいんだか分からないが、とりあえず「もう歩けねェ…」
とベンチに崩れるように座ると、銀時が楽しそうに笑って
落ちてきた桜の花弁を捕まえた。







「ハートの形に似てるよなァ…」

「…なに、いってんだ、てめー」










捕らえた花弁に口付けると、そっと桜の花弁を俺の唇に押し当てて
ニィと笑った。













「…俺のハートは、いつの間にかお前のもんだっつー話」




そうだったら良いけれど、花弁の如くひらひらと、ふわふわと誰かのもとへ
飛んで行ってしまうのではないか、と思ってしまう。







釈然としない思いを抱きながらも、せめてもの意趣返しに
花弁ごと銀時の指に歯を立ててやった。







桜の下で、落ちてくる花弁を全て拾うことはできないけれど
花弁の如くふわふわと舞う、こいつを捕え続けることが出来ないか
ただそれだけを思った。













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ひらひら、ふわふわ。

薄桃の花弁が虚空へと降り注ぐ。

互いの心を手に入れたいと願う無謀な者たちの上にも。

人の心はものじゃないから、手に入れるのは難しいとどこかで聞いたことがあります。
桜雨を頭に浴びながら考える話じゃなかったかもしれませんね。