ご褒美│原作銀土。最後の最後でついていない日のどんでん返しを。

起き抜けに、ババァの怒鳴り声。

依頼人はムカツクガキだった。

神楽に命より大切なイチゴ牛乳を飲まれた。

依頼後、夕立に降られた。







ケチがとんと付いて回り、半ばずぶ濡れで軒下にて雨宿り。
そういえば、依頼に出かける時新八に傘を持っていけと言われてた、
なぁんて後の祭りだった。
八つ当たりをしようにも目の前には眼鏡は居らず、万事屋か自宅へ
戻っているはずだった。





(兎にも角にも依頼は無事終了したわけだしなァ)




これ以上悪い事何ざ起きようがねぇなァと雨が小降りになるのを待つ事
数十分、気配はなくいくら少し暖かくなったとは言え、濡れた体が少し肌寒くなってきた。



(…後、5分待って小降りにならにゃ、走って帰るかねェ)






そう覚悟を決めた矢先、漆塗りの濃い銅の番傘が傍で立ち止まった。
何時も見慣れた漆黒の制服ではなく、黒い着流しを艶に着た瞳孔開き気味
の土方君だった。

不審者を見るように足から頭の先まで見下ろす視線が今は救いの神だ。



(まさか最後の最後に廻ってきたツケってコレじゃねェよなァ?)




「よぉ、多串君。雨の中、散歩かィ?」


「…テメェも、ズブ濡れで散歩たァ、随分粋じゃねェか」


相手の楽しそうな口調に少しムッとしてねめつけるが
番傘の下の涼しげな男は痛くも痒くもない顔をしていた。


(やっぱり今日はついてねぇなァ…)



ついていない時はトコトンだ。それでも怪我もなけりゃ
犯罪に巻き込まれたり、何かを落としたわけでもねぇし。

そういって自分を慰めつつ、壁に寄りかかった身体を持ち上げた。
そろそろ動かさないとくっ付いてしまいそうだった。


「…オイ」

あ、そういえば目の前にこいつが居たんだった。


「あ、ごめんごめん。…傘に、入れてくれるわけ、ねーな」


そう少し不機嫌になりかけた相手に聞こえる範囲でブツブツ呟くと、
案の定怒って一歩踏み出そうとする相手の腕をつかんで
怯んだ隙にこちら側へ引き寄せた。


相手が驚いた顔をしていて反応は遅い。背に付いた部屋の中へと相手を誘い込んだ。
この辺りは出会い茶屋や怪しげな界隈が多い。
事を済ました後、借りたとでも言えばいいか。

寄せた顔に軽めの口付け。目を丸くした顔が幼くみえて可愛い。




(鬼の副長も甘い鬼だねェ、…ま、それだけ気を許してくれたってことかね)




「さー多串君、一緒にたっぷり濡れようか〜♪」

「バ、…馬鹿野郎ッ俺は濡れたくねーんだよー…」



界隈に残された番傘はそんな二人の声を笑うかのように
リズミカルに雨の滴を受け止めていた。

無理張り強請ったご褒美の続きはいかほどに。
サイトに移行した記念に続きを書こうかな、と検討中です(笑)