ザ・鍋バトル・クリスマスバージョン☆│原作銀土。鍋バトル銀土の場合。味音痴だから目茶苦茶になる、かな。

*これはブログで行った一人企画の『X'mas Sweet Dream』の作品です。






















2人でいれば、それで幸せなんて。
甘っちょろい事をいう時期はとっくに過ぎていた。

それでも期待していたなんて。
もはや今更言えなくて。

それでも自然に二人でいる、それに意味はない?





**







「オイ、ねぎを入れるのはもっと後だろーが」

「…はぁあ?んなの入れちまえば関係ねーだろーがぁあ!」



今、万事屋は2人の鍋将軍に占拠されていた。
温かい鍋を囲んで部屋で2人だが、そんなに甘い雰囲気ではない。

いつの間にか、子供達は避難してしまった。

知らず知らず背筋に冷たいものが流れ落ちるのを感じた。






家事のこと、特に食事に関しては関心の湧かない土方に
自分は食事の手伝いをやらせようとはしない。
それが少し癪だったようだ。

お前には無理だろといわれているようで(実際にそうなんだろうが)。
出しを摂る為に鶏肉と昆布を入れて、さァ野菜でも、と用意を始めたところで
眠っていた闘争心を揺り動かしてしまったようだ。

自分は鍋=温まればいいものでみんなで沢山野菜が食えるものであって
お安くてしかも美味い為よくやる冬の定番メニューだった。



定番なのに何故土方が知らないかというと、答えは単純。だって年末で忙しいから
今日会ったのもクリスマスだからという甘っちょろいことではない、「たまたま」らしい。
「たまたま」仕事が早く終わったんで、「たまたま」かぶき町の方に用事があったので。
理由を探そうとする土方の言葉に少し深く笑みを刻んでしまいながらも、
子供達のいる部屋へと招き入れたのだが…。

神楽のために少し多めの野菜を入れるための鍋を借りていたため一人ぐらい増えても
問題は無い。
そう軽く思っていたのがいけなかったのだが。



「つくね、…ちゃんと鳥の軟骨入ってるヤツか?」

「…はァ?んなたかいの出来るわけねーだろ、長いも擂って混ぜたから…」

「糸こんにゃくはちゃんと湯で戻しとけ、アクが出るだろうが」



「だーもううるせェ…ここはお前の鍋じゃなくって俺の鍋だからァアア!!」




理不尽な物言いに流石にムッとして言い返せば、ムッとなりながらも菜ばしで野菜を綺麗に入れていく
姿に少しだけ目を細めた。



(…まるで、お母さん、ってヤツだよな…)



自分には親と呼べるものはいないため、想像ってやつだが。
こんな嫁が来てくれたらなァって、ってオイオイ。



なんて浸っていたら。




「ぎゃあああっ、なんか黄色いもんがァアア!!」

「鳥団子鍋土方スペシャルだ、マヨネーズは何でも合うからな」



「こ、個人の皿に入れろやァアア!!」

あろうことか鍋全体を覆うほど含まれたマヨネーズに悲鳴を上げる俺に、土方はきょとんと
して見せた。
やっぱりこいつに料理をさせるのは無理だ。

っていうか、嫁に貰ったらそこんところ厳しく関白宣言しなきゃならないだろう。
マヨネーズは個人で楽しめ、ただし夜中に楽しむなら夫婦で。

(…でもマヨネーズって酸っぱそ…)



ナニに塗って今度舐めさせてやろうかと悶々としながら湯に浮いたマヨネーズを
見やっていれば「そんなに怒るなよ…」と少ししょげてみせる土方に調子に乗ってみる。
何と言うかこうなった時の土方は可愛いので。

ふてくされたようにして視線を伏せれば土方は小さい声でぼそりと呟いて。


「でも、…これお前にも食べてもらいたくて…」

「…いや、そっちのほうのデレでなくってさァ…」

形勢逆転と思ったら、後ろの方で控えピッチャーが虎視眈々とグラウンド
を睨んでいたというわけだ。
謝ってすむ問題じゃないと分かっているのに、伏目がちの土方に陥落しそうになる。
これが惚れた弱みかそれとも。

デレってなんだ?といわんばかりの視線に首を振る。

これ以上説明するのが難しくて、酸っぱくなってしまった鍋に視線を注ぐ自分の沈黙に
土方はムッとしながらも取り分ける為に入れ物を用意した
お盆からとりわけ皿にマヨ塗れになってしまったそれを持って此方へと差し出す。


「…ありがと…じゃなくってさァ。これは兵器だよ?いい加減お前以外には
兵器だってこと分かれやァアア!!」


クリスマスに「たまたま」が重なって折角二人でいるというのに、
どうも雰囲気は甘くならない。

それどころか酸っぱい。

机の上の折り紙で作られた歪なツリーが湯気で揺れる。昼間に子供達が
作ったものだった。

それしか置かれていない聖夜の夜だが、二人でいるのに。

俺だけが意識しているんだろうか、と視線を向ければ明らかに落ち込んだ土方の横顔があり。
っておいおい、その手にはのらねぇからな。

一時のテンションが身を滅ぼす…一時のテンションが身を滅ぼす。
そう唱えると、差し出された皿を手にとって手を合わせる。




(グッバイ、…俺の健康体)




どうせ糖尿気味のくせに何をぬかすかと言われそうだが、それにカロリーも多く摂取したら
確実に死ぬのではないだろうか。

そう思いながらも、箸を使って掻き込むと同時にその場に倒れ伏してしまう。




「…ッぐ…ッ!」

(み、…見事にマッチしてねェエエ!…しかも分離してやがるゥウウ!)




しかし手間のかかった鳥団子を吐き出すわけにはいかず、そんなところも災いして
喉を火傷しながらも嚥下し皿を置く。しかしやはり耐えきれなくなってその場に撃沈すれば
「変な奴」と言いながら鍋をつつく土方に恨めしそうに僅かに唸ったのだった。








「…ん…」

(……?…あぁ、あのまま寝ちまってたのか…俺は)




時計を見上げればすでに日付は変わった0時を30分ほど過ぎた辺り。
意識していたわけではないし、クリスマスにあの忙しい土方と過ごせただけでも
ラッキーだったのだろう。と体の向きを変えようと炬燵の中で体を動かそうとすれば
ぐにゅ、と掌が何か柔らかいものを掴み瞳を瞬けば、土方が同じように炬燵で寝ており
なおかつ、その手は確り俺の手を掴んでいた。

男の手ではあるが、触れた部分が掌だったのだろう、
指に馴染んで柔らかく思わず目を細めた。




それから手を繋いで再び瞼を閉じて眠りに落ちていく。







これはこれで。

後5日で年度末、来年もいい年になりそうだった。







(起きたらとりあえず炬燵で触って、二人でとろけよう、かな…)



そう考えて口端を上げた。そんな思考に土方は知らず寝息を立てるのだった。




**




2人でいるには理由はなくて、
それでも手をつなげるほどの傍にいて。

悪態を付きながら喧嘩しながらも離れない
そんな絆を何と呼ぼうか。

それを図るにはまだ時間が足りない。




だからこそ今も傍にいるのかもしれない。






We are the relations that are not too sweet.

クリスマスなのにどうも甘くならない原作の二人で御座いました(笑)銀八土も金土も甘くなったのに;
因みに鳥鍋にマヨネーズを入れてみましたが、少しなら美味しいことが分かりました(笑)