不鮮明のキス(12禁)│原作銀土。何年か前の土方君BD記念の作品です。

何よりも甘いものを貴方に。



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「は、…あむ、…ッふ…ッ」

薄暗い室内で、互いの呼吸音と漏れる声だけが生々しく
粘着質な水音がそれに重なる。
よく飽きないと思う、それぐらい長い間何度も口付けを繰り返している。

甘くイチゴの飴の香りをしているコイツと。

先ほどまで吸っていた煙草の香りを消すように何度も。










折角の誕生日に捕り物で深夜にずれ込んだ自分の時間は朝までしかない。
祝われる年でもないし、有給は沢山ある。
それなのに、祝いをしたいからとずっといつもの居酒屋にいたのだろう。あまり飲んでない
顔でもうとっくに看板の居酒屋の前で待っていた万事屋を見てホッとした自分がいて驚いてしまった。

責めるでも怒るでもない口調で「お疲れさん」と告げると手を引く。

その温かい手に疲れを実感すれば、相手に引かれついて歩いて行きながら正直な言葉が
ポロッとその口から溢れる。



「……どっか行きてェな」

自分が自分だと分からなくなるぐらい、どこかへそう甘えるように呟いた声に
万事屋は茶化すことなく「了解」と告げて手を引いて町外れの連れ込み宿へと俺を誘う。



「…どっかって、…即物的過ぎるんだよ、テメー」

「いいじゃん、連れてってやるから」

だから、付いてきたら?と首を傾けられ、上等だと言わんばかりに目を細めれば
立ったまま口付けを繰り返されている。
始めは合わせるだけの軽めの口付けが繰り返され、今度は唇を開いて舐められる。
その感触の背筋を震わせると、舐めながら至近距離で閃く万事屋の赤い瞳に
身体の熱が煽られてしまう。

唇を合わせるだけの行為にこれほど情欲を煽られるなんざと思ってみても
一度上がった身体の熱は消せない。



崩れそうになる足に「もう限界?」と笑われ、ぐっと足をに力を入れたせいで
咥内への侵入を許してしまった。
疎かになるわけではないがそう許してしまう隙に少し前から気づいている。
しかし気づきたくない、気づかれたくないとしていたものが曖昧に暈かされていく。

銀色の色に。



それを甘受している自分に驚きを隠せず、尚且つその光に飲まれていく自分を
理解できているのかないのかも曖昧で。

ただ支えられているのか自分の足で立てているのかどうかもわからずにしながら、
舌だけは熱く絡み合ったまま。

吐息が互いの唇に当たり、目を閉じてその唇の皺を楽しむように
舌先で辿ればクチュと音を立てて下唇で挟まれる。


出会って間もないころ、その珍しい銀糸が目に入り忌々しさを感じたこともある。
触ってみれば案外柔らかく、細いことを知った。
それも近づかなければ気づかなかったことだ。

それでもまた互いのことを知らなくて、互いのことを聞いていなくて。
あの曖昧な関係が心地よく聞かないでいる、話さないでいる。
一度見たらよく街中で目に付くようになった銀髪に反発して、いがみ合って
曖昧な関係のままこの関係を続けている俺たちの関係はいったいなんだろうと思いながら
その生ぬるさを甘受する。



甘い口付けとともに。






「…ッぁ…ふ、ぅ…ッぁ…」

角度を変えて唇を挟まれれば、伸ばされた舌に舌を絡めとられ吐息が毀れる。
舌裏が柔らかく熱く絡まり擦られすすり泣くような声が。
支えるように腕を回され半ばのけぞる様に、口付けに酔っているのか万事屋自身に
酔っているのかわからずに目を閉じてしまう。

舌裏を尖った舌先で辿られれば、そのまま吸われガクガクと足が震えてしまう。
その生々しい感触に鋭敏に磨かれた感覚か全てを精密に脳内へ伝え
直接熱を解放するために触ってほしい、とあらぬことを言いそうになる。
何より口付けだけで身体の熱を上げたことが恥ずかしく、しがみ付くように
背に伸ばした手で、ズボンへ手を伸ばせば。


「………ッ、…ッお前…」

「男なんだから、こういうのもありでしょ」

少し照れたような唇を尖らせて呟かれた言葉と手に触れた熱に目を瞬いてしまう。
自分の拙い口付けにまた、目の前のこいつも酔っていたんだと
気付かされて。
すっとに伸ばされた手で自分も熱くしていた股間を撫でられ「あッ」と声を上げてしまう。


「…つーかお前もガチガチ。…早く触ってほしかった、?」

「…ッうっせ…ェ…ッ」

性急気味にズボンを寛げながら、ズボンをずらしていき取り出す万事屋の熱の
熱さに躊躇うものの手を絡めるように弄れば、息を荒げる万事屋に
此方も息を荒くする。
同じようにズボンを寛げられ、下着から取り出された熱を
自分の触れ方と同じように触れられるとその場に崩れてしまいそうになる。

それを支えるように腰を支えられたまま、互いの手で互いを高めていく。
再び再開された口付けは、再び舌を固めて喉奥を舌根で舐められる。
溜まった唾液を飲み下そうとして、尖端を抉られる様に爪先で弄られてしまい
その刺激で、溜まった唾液が口端を伝って顎先へと流れていく。
その感触にすら煽られる様に息を吐き出せば、その息すらも甘くなってしまう。
粘着質な水音が響き渡り、舌先で唾液を吸われると、万事屋の喉が音を立てるのに
気付いて煽られるように身体の熱を上げれば少し酒の匂いが強くなった気がした。

万事屋も体温を上げているからだろうかと少し優越を感じて目を開ければ、
薄ら開いた視界に、欲に濡れた万事屋の赤い視線があった。
真剣でそれでいて、欲に塗れた赤い瞳に覗きこまれて心が透けて見えるようだ。

でもそっと目を閉じて気付かない振りをする。




「…ぁ、…ッ!んん…ッ」

くぐもったような声が互いの口内を反響させ漏れていく。
それでも口付けを解かないままで、昂ぶった熱に立ったまま手の動きが早くなっていく。
腰を無意識に引こうとすればそれに回された腕が逃さないとばかりに力を込められる。




熱を追うように舌を絡め同じ動きをすれば、飽きない口付けに酔ったように
吐息と唾液の交換をする。しかし気持ちは互いに分からないまま。

知らないことが多い、知っていることは名前と年齢。それと今日が何の日であるかということぐらい?

体内でこいつ以外は探られたことはないってぐらい奥を弄らせているというのに。
互いの気持ちに気づかない振りをしている。




「気持ちイ?」

そんな風に聞く万事屋に咄嗟に首を横に振る俺に、万事屋は微かに笑って
「ウソツキ」なんて呟いて唇を食んだ。



(それは、…お前もだろ…?)

自分の気持ちに嘘をついて、相手の気持ちには気づかない振りをして。
曖昧で滑稽。
それが二人を示す言葉?

それでも壊せなくて、心地よいところを二人で。

いつかこの関係に終わりが来たとしたらどんな名前が二人につくのだろう。
腐れ縁?友達?…それとも。




熱が掌の内で大きく跳ねるのに合わせて窪んだ部分を爪先で弄れば
同じように指腹で擦られ思考が霧散していく。




「ふ、…ッぅッ!……ンンン!」

舌のみを絡めたどこか暴力的なそれでいて生々しい感触に酔ったように
くぐもった声が響き渡り、熱が堰を切ったように溢れだして。何を
考えているかも分からなくなりそうなほど、…白く塗りつぶされていく。




二人して安っぽい布団へ崩れ落ちる。

それでも口付けは解かれない。吐息までも奪いつくしてしまいそうな口付けに
没頭し、角度を何度も変えながら貪る。




「…年の数だけキスを、ってな」

そう悪戯っぽく片目を瞑る万事屋に、顔を赤らめそうになりながら僅かに舌を出して
誘うように吐息を間近で拭きかける。




「…足りねぇよ、ばぁか」

それからすぐに顎を取られ、激しい口付けで隠している気持ちを知る様に、探る様にして。
いつか、来るのだとして。
今はまだこのまま、曖昧で柔らかい空気に浸されて。

飽きることのない甘い口付けが繰り返され、その隙にない筈の愛を巧妙に隠している。










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甘いものに紛れ込ませたひとつの真実。

今はまだ気付かない振りをして、ただ貪るように甘い口付けを繰り返している。





HAPPYBIRTHDAY!!

無理張り強請ったご褒美の続きはいかほどに。
サイトに移行した記念に続きを書こうかな、と検討中です(笑)