mark(20禁/暴力)│原作銀土。独占欲と嫉妬がテーマの酷いエロなので注意。

西洋の昔。
とある街では、人が人を愛することを禁じたらしい。
愛することは人を破滅させると。
そう断じて、魔女と称して火に掛けた。
それほどの感情なら、ねェ、神様?


ドウシテイラナイナラ、コンナカンジョウヲツクッタノ?








**




「今日は手加減、してやれそうにねェよ?」
そう暗闇で唇を歪めた銀時の顔を何度も思い出していた。




痛みが喉を掠めてうまく声が出せない。冷えた床に背中は剥き出され、冷たく硬い感触が伝わる。
それなのに繋がった箇所だけは熱く爛れ、呼吸をかき乱している。
それは現実なのに、現実じゃない感覚。酷く長い時間こうしている様だ。
汗に塗れた指を伸ばすと、鋭く払い除けられ再び熱を打ち入れられた。
灼ける、このまま骨も残さず燃え尽きる、消し炭になって打ち捨てられる。
そんなことが頭を占め、うまく考えが纏まらないんだ。




「ヒ…――は…ぁあ…ッ!」
声はとうに亡くし、呼吸音と喘ぐ声だけで土方の身体をぼろ雑巾のように扱う熱い衝動。
受け止めきれずに腰を逃がせば、それよりも強い力で揺さぶられ、左頬が打ち据えられた。
両の瞳は打ち据えられるたびに赤く、熱を体の中心に埋められる度に白く、点滅する。
それは何かの信号のようで、これ以上の衝動を受け入れれば
てめーの興味を失うべきものになってしまうのだと頭の隅が妙に冴えて思う。




「…なァ、十四郎ォ。…勝手にイくんじゃねーよ」
引導は俺が渡してやるんだからよォ、と低く冷えた声が真上から響いた。笑みを含んで。
もうどんな表情をしているのかも、どんな格好で銀時を受け入れているかもわからない。

ただ銀時の衝動を受け止めているだけだ。
それは怒りにも似た占有欲。








その日銀時と会う予定のあった俺は、屯所の自室で山崎に指示を出し
報告書を読みながら、ふと居眠りをしたのだった。
しかし、時間にしてみればたった数分だったと思う。
傍には何時もの様に意味深に笑みを浮かべる総悟がいて、意味の取りにくい一言を残した。
確か…。




"土方さん、…今日は、きっと面白いコトが起こるんじゃねェですかィ?"




気色悪さに首を傾げ、その足で銀時の待つ万事屋へと向かったのだが。
そこで何もかもを知ることになった。俺は取り返しのつかないことをしたという事を。




「…日頃から、俺がなんて言ってるか、覚えてねーのかァ?」
「……、危機感を持て…、…だ、ろ…、ンなの…」

「フン、…覚えてんのか。…なら、構わねぇよなァ」

不意に近づいた俺の腕を強引に引くと、次は床に引き倒した。
強く背中を打つ衝撃に息が詰まる。

何を意味していたのか、つめたく冷えた背に身体を起こそうともがくが出来なかった。
いや、しなかったのだ。
真上から見下ろされる視線に鋭く床に縫い付けられて。
喉がひくりと鳴る。
滴り落ちる汗が床に僅かに濡らす。その冷たさに気づいたのは、全てが済んでからだったが。

文字通り床に引き倒された衝撃と、狂に似た炎がチラチラと揺れる銀時の瞳を覗き込めば

勝手に身体は熱くなる。
そうなるように、そんな身体にしたのは間違いなく銀時、だったからだ。
胸元を辿る指先は一週間前と同じく銀時の辿る軌跡。

それだけで息を飲み、瞼を閉じかけた俺に、頭上からは嘲笑に似た笑み。




「…言いつけも守らねェ動物には、仕付けし直しだな。…一晩かけて覚えさせてやるから」
お前が、誰のものであるかという事をな。
その瞬間に小刻みの良い破裂音に似た音と左頬に熱が同時に襲った。

衝撃で、目を見開くと、見下ろすその瞳を再び見上げた。
情の炎よりも、焦点の定まらない瞳に浮かぶのは狂った、火だ。

小刻みに震える身体を叱咤しながら何とか声を紡ぐ。




「…俺は、…お前を裏切ったこと…なんて、……ヒ…ッ」
「―――、なァ?口答えしたら、此処潰すぜ?」

握りこまれたのは隊服越しとはいえ、熱くなった箇所で。ギリ、と力を込め握りこまれれば
痛みに言葉は紡げない。

そのまま本当に潰されるのではないかと思うほど強く握りこまれ情けなくも頬を伝うのは透明な雫。




「ぃあ…ッ、…痛い…いた…ッ!や、…ヤメ…ッ!」
「どうせ此処、必要ねぇもんなァ…、それとも誰かの孔にぶち込むか?」
冷や汗が背筋を伝う。懇願し、泣きながら首を振るう。
それに銀時は鼻先で笑った後、ワイシャツの釦を引き千切る様に俺の身体から取り払い、

下肢を覆っていた衣服も全て強引に投げ捨てられた。

まさに、動物に衣服は必要が無いと言わんばかりに。




「…、…ッ」
ひやりとする背を浮かせ僅かに銀時に身体を寄せたつもりだった。

しかし再び叩かれた頬に呆然とする。

何時もは強引に触れられても、痛みだけを与えるような行為は無かった。
初めてのときでさえも躊躇うように触れられ、次第に熱に焼かれた。
じわじわと燻る熾き火の様に。
もしかしたら、初めから銀時はこうして自分を貶めたかったのかもしれない。

それ程の激しさが己に襲い掛かる。




「――…ッひ…あぁあ――ッ!」
濡れた音が響き渡る。
あろうことか握りつぶさないばかりの力を加えたまま強引に狭い孔に押し入る熱に、

喉を破らんばかりに悲鳴が漏れた。
前戯もなにも無い、その衝動に身体に力が入り硬直した。
軋む様な音を立ててめり込んでくる銀時に、身体が二つに裂かれる思いで仰け反る。

傷みしかないような、そんな熱に呼吸が止まる。

吐き出せば悲鳴が口を付いて出て、みっともなく震えた唇は言葉を紡がない。
本当に声を失くした動物のようにパクパクと唇は空ぶっていく。




「ッ……ハ、…ハァ…――ぅん…ッ」
「…ガッツいた孔だなァ。食い千切る気ィ…?」
ぴしゃりと双丘の肉が叩かれ、その乾いた音に咽び泣くだけだった意識が急に浮上した。
明らかに揶揄を含んだ響きのある声音にかっと全身に血が昇る。




こうしたのはお前なのに。お前がこう俺を変えたんじゃないのか。




無言で瞳を押し開けて見つめれば、僅かに切なげに瞳を細めた銀時がいた。
傷みを感じているのは確かに俺なのに

銀時の方が余程苦しいような痛みにも似た傷を負っていること、知った。
不安を全て孕んでそれでも優位に立とうとするのは愚かだと。


気付かないお前じゃないだろう…?




くちり、ぬる、
濡れた音が、体の何処かから溢れ、飛び散る。

接合部分は別の生き物がそこにいるかのように銀時の熱を食みながらも細かく痙攣を続ける。

首筋に鋭く歯を立てられながら揺さ振られる。
しかし、痛みが一つぐらい増えたところで、他には何も。




「んん、…は……ッ、…銀時、…ぎ、ん、…ッ」
慣れぬまま、再び咥えさせられた熱く硬い異物に全身の筋肉が引き攣る。
それなのに、擦られた場所は柔軟なもので銀時の容に馴染み始め、柔らかく包み始めてしまっている。
反応を返すことで追い詰められているこの身体がお前を唯一追い詰めている。
傷みに体を蝕まれながらも反応を返す俺に自分がそうしたと言うのに顔をしかめて呟いた。




…――イン、ラン、と。




火の付いたように痛みがちりちりと広がる。
もがいても掴まるものも支える腕さえなく、接合部分だけがやけに現実で粘着質な音が溢れる。





「…なぁ、どうすればお前は俺のもんになんの?」
不意に声音が捨てられた子供のように震える。

答えを返せず僅かに瞬くと、ちりちりと痛んだ箇所が大きく震えた。
握られていた手が外され、そっと、己が噛んだ箇所をゆっくりと指の腹で辿る。




「こんなところにくっきり痕何ざ付けて来やがって、さァ?」
そんなもの、…と声の紡げない唇を空振らせてみれば、先ほどの総悟の言葉が脳裏に蘇った。




「わかってるつーの、サド王子辺りがつけた悪戯なんだろう、って事ぐれェ」
ツ、と爪先で先ほどは触れもしなかった胸の先端を辿り臍まで辿り付く。
勘のいい言葉通りだと小さく何度も頷く。




「…なのにさァ、俺はこんなにお前のことになると不安なんだっつー…」
余裕もねーよ、と自嘲気味に笑う銀時に、先ほどは払い除けられた腕を伸ばしそっと首に手を回した。

そうするべきだと思ったから。
痛みしかなかった激情に身体はズキズキと痛むし、

接合したままの銀時と俺との間は血と白濁と蜜で淡い朱色に染まっているはずで。
それなのに、心よりも身体が反応する。銀時に向かって。

ドク、と俺の中の銀時が反応して熱と鼓動を伝える。
心地よさに思わずそのまま腰を振ると、俯かせた顔を俺の肩に埋めたまま腰に手を回した。

膨れ上がり水が飛び散るような音を立てながら押し進む銀時を腹の中で感じながら

重い腰を振ってそれに答える。
首筋に顔を寄せた俺は銀時の首筋に歯を当てた。

強く、心にも届くように。

付けられた噛み痕は暫く消えないだろう。それでもいいと思った。

首筋にくっきり残ったそれに銀時を感じる。


…否、そんなことをしなくても。




「…ッ、…ンん、お前、…だけ、…だ」
そうして銀時にも赤く腫れた箇所に、他の記憶はいらないとばかりに再び血が滲むほど噛み付かれる。
そして、血を丁寧に舐め取られる。その血の一滴ですら手に入れたいのだと主張して。
掠れた声で、このまま繋ぎ止めておきてェと囁かれれば、大きく跳ねた身体は銀時を締め付け
ヒクヒクと戦慄いて自身が白濁を吐き出した。

腹の中でも銀時の熱が膨れ上がり、喉はもう言葉を紡げず呼吸のみで喘ぎ、床に倒れ込んだ。




現実が戻ってくる。
消し炭になって打ち捨てられてもいい。

燃やし尽くされ激情の中、俺はお前を感じて消し炭になるのなら。

そんな思いで銀時の柔らかい髪をさらりと撫でた。




首筋には互いに赤い、赤い噛み痕。それが互いの間に出来た、"リアル"だった。





















次の日、首の周りに巻かれた真新しい包帯を見て、総悟は「怖い人達でさァ」と苦笑いを浮かべた。














**







一人の人間に抱けるとは思えない感情は
国をも沈めかねない。

それならばいっそ二人だけの世界へ逃げ込もうか。
祝福の鐘の聞こえない、楽園の外へ。










モウカミサマノシュクフクハ、……イラナイ。

独占欲が過ぎるとこんな風になるんではなんて、思いながら書き始めたら止まらなくなったりして。
乾いた血と対になる二人のこう過ぎた感情は暴力になるんだろうと。