凹んだスポンジケーキを救え│原作銀土。メイド銀さんと御主人土方君のお話。運転手さんがお気に入り(笑)

※これは、ブログで行った美味しい関係7題+ショートケーキで5題の12話更新企画(感謝のカウントダウン企画☆)の作品です。











柔らかくいつもの、布団とは違う気がして急激に頭が覚醒する。
ふあふあの感触を残して頬に触れるのは、毛布ではなく絹の布団?
まだ寝ているのかもしれない、そういって再び布団にもぐろうとした、その時だった。



「いつまで寝てるんですかァ、ご主人様ァ〜?」
「…ぅわッ!」
布団を捲られ、一気に覚醒されれば目の前に信じられない光景が広がっていた。
洋風といえばいいのだろうか、本で見た子供向けの天人製の家具に囲まれて
天蓋(蚊帳みたいな?)のある布団で寝かされていた俺は、その柔らかさに格闘しながらも
布団を捲った相手を見返して目を瞬く。





「ギャアアアッ!お、おま…なんて格好してんだァアアア!!」
「あ、ハミ○ンしてますぅ〜?きゃ、いつも短い制服しか支給してくれないからァ」
「ぎゃあああ〜〜〜、つーか見せてくんなァアア、万事屋ァアア!!」
陽光の日差しの中で見たものはカチューシャをつけ、短い黒いワンピースに
ハート型のエプロンをつけた万事屋だった。




とにかく頭を整理すれば、自分はこの家(屋敷?)の主人で、万事屋はメイドという存在らしい。
痛みを堪えて眉間を揉めば、朝食を運んできたらしいワゴンに頭痛薬も乗っていて
布団に座ってパンを齧る。
ニコニコとしている万事屋(メイド)がそばに居なければもっと考えが纏まる様な気がするが
出てけといえども食事の片付けもありますのでと居座られてしまった。
そんな時ノックが響き、部屋に誰かが入ってきた。





「…は?…近藤さん!?アンタまでナニやってんだ!」
「どうしたんですか、ご主人様。相変わらず銀にべったりですねェ。今日のお仕事のスケジュール
をお伝えに参りましたァー」
「あ、ゴリラ執事」
ゴリラ、もとい近藤さんも丁寧な言葉遣いでテキパキと手帳を捲るのを見れば、珈琲を入れる
メイドの万事屋に自分は何か夢でも見ているのかと思ってしまう。
目を瞬きながらも報告を終える近藤さんに促され着替えを済ませると
着慣れない洋服にやたらつるつるしたワイシャツをまといネクタイをしようと思うが
うまく結べずにもたもたしてしまう。
慣れないため当たり前だと思う反面焦りを覚えてしまう。
すると万事屋に手を取られて後からタイを巻かれた。その慣れた様子に呆気に
取られていると目を細められた。
隣の執事の格好をしている近藤さんも同じように笑みを称えていた。





「何だ…?」
「「いいえ〜〜〜別にィ〜〜〜?」」
そういって口を揃える2人に歯軋りした。














今日は町へ買い物に行くんだったでしょう?とスケジュールを口にされ、玄関に行けば
そこにいたのは伊東だった。伊東まで何をしているのかと思えば、運転手の役(?)らしい。
見たことも無いような車の後部座席に座らされ、運転席が締まればメイドと執事が見送る中
ゆっくりと車体は走り出す。

伊東は理知的な眼光を前に走らせながらハンドルを動かす。





「ご主人様、…何か気に病む事でも?」
「……、…あ?…別に何でもねーよ…」
寧ろお前が、俺に対してご主人様とか言う辺り気に病んじゃってるよォオオ!と心の中で
叫ぶと「体調管理は基本だと言ったはず、気をつけて下さい」と小言を言われ
唇を尖らせた。
屋敷付きの運転手になっても全く変わらない伊東にちょっとホッとするなんて、
自分自身相当おかしくなっているのかも知れない。

買い物を済ませ、と言っても特に自分のオーダーしたらしい服を取りに行くようなもので
モヒカン頭の山崎がスーツで出てきたときは死ぬほど驚いたが。
とりあえず一発殴って伊東の運転する車で戻る。

とりあえず急いでいるわけでもない、そんな少しのんびりした気持ちが生まれる。
時間はあるのだと車の背に凭れる。
夢だとしてもこれは悪夢の部類だろうと、眉を顰めながらも眉間を軽く指で揉む。
朝感じた頭の重みをまた感じてしまった。





「…ご主人様?」
「ちょっと行きてェとこがあるんだが、…其処まで行ってくれ、るか?」
立場が今は主従らしいが、ついついいつもの癖で嫌味を言われやしないかと、言い加える。
それにミラー越しに目を瞬いた伊東は、「予定は…よろしいので?」と言いながらも其処へ車を走らせてくれた。
予定も何も買い物以外知らされていないのだから、特にいいのだろうと煙草が吸えそうな場所までいったのだった。
何よりこんな奇妙な状況を整理するには時間が欲しかったから。
夢ならばその時間に覚めるのが、関の山だから。


なのに予想を裏切って全く目が覚めなかった。
それどころか、とっくに屋敷に戻っているはずの主人を探して、伊東の携帯に電話があったらしい。
慌てふためく伊東を見るのは、少々面白かったが次第に気の毒になり、車に乗り込んだ。
先ほどまでの沈着冷静な運転は見る影もなく慌てて戻る車内でも、自分は至極冷静でいられた。








もう夢なんだから、そろそろ覚めろォオオオという無駄な気合も虚しく、屋敷に着いてしまった。








「ご主人様ぁ?心配しましたよ〜〜〜?」
お帰りなさいませ、と丁寧にお辞儀をして、伊東から設えられた服を受け取って部屋へと戻るのを誘導する万事屋は
相変わらずメイド服(?)を着ていて、治まった頭痛がぶり返す気がした。
かた苦しい上着を脱ぎ、きっちり整えられたベッドに投げ捨てると、設えられた洋服をクローゼットへと納めてきた万事屋が部屋へと姿を見せた。
恭しくお辞儀をして、ベッドに脱ぎ捨てた上着へと手を伸ばすと同時に、そのベッドへと背中から落とされて目を瞬く。
そんな事をすると思っていなかったから、案外簡単にひっくり返ってしまった。
目の前の万事屋とは、確かにそういうこともあったが、今は主従関係ではなかったか?
そんな事を思いながら信じられぬ思いで見上げると、メイド服を着た万事屋はクス、と笑う。





「ご主人様ったらァ、…本当は苛められたいんですかァ?」
「…、…は?」
「…悪い子には、お仕置きですよォ〜?」
その言葉に、疑問符が一瞬浮かび次の瞬間にカッと頬に血が上った。
されてたまるか、と言わんばかりにもがくが、本当にもがく事位しか出来ない。
それほどまでに腕の力は強くて焦ってしまう。
最近ご主人様ったら、お仕置きして欲しくてわざと困らせるようなことするんですからァ、…夜間特別手当
弾んでください?、なんて咽喉を震わせる万事屋に、目を見開くも腕をそのまま取られてしまった。







「は、ぁ…っ、う、…っああ、…ほ、どけ…ァあ…ッ」
「ふご、…んん。…は、う?」(解いちゃったらオシオキになんないでしょ?)
屹立の根元を縛られたまま、尖端を舌先で舐められて眉を顰めながら、その舌触りに仰け反る。
ざらついた舌先は、慣れたものなのに結ばれた白いリボンは、万事屋の首元を飾っていたものだ。
まだ、黒いワンピースを着たままの視界は違和感があり、萎える状況は大いにあるのに、熱だけが本物である。
膝をつき、ベッドに座る俺の股間に顔を埋めて、焦らすように尖端の窪みに舌先を埋めてくるのは万事屋で。
それなのに強烈な違和感を産む格好は、どこか倒錯的で眉根を顰めてしまう。
ふんわりとしたレースの使われたスカートに、白いエプロンは女が着るものなのに何故か至極似合っていて。
着慣れた感があるのは夢か、それとも。
固く張り詰めた屹立は腹に付くほど反り返り、万事屋の髪の毛を引き剥がそうとして掻き混ぜるだけに終わってしまう。
引っ掛かるカチューシャが違和感を覚えることもまたなくなっていくのは、熱に身体が犯されていくからか。





「ゃああ…、ぃき、…た…、い…ッぎ、ん…ッ!」
「…全く強情なんだから?…今度は縛って飼い犬の定春に舐めさせるぜ」
そう小さく呟いた口調は、いつもと変わらぬ口調で。
スカートを穿いた万事屋は、輪郭がおぼろげになって行く。
っていうか縛ったままのこれどうすんだァアアア、夢ェエエエ!そう叫びながら。
しかし次の瞬間、大きな腕に囚われるように抱き締められてホッと息を吐き出すのだった。




**




(…今度は魘されてる?…全く器用だなァ)
始めはメイドだのゴリラだの、挙句の果てにモヒカンだの寝言をいったかと思ったら、
色っぽく喘いで、その後は魘されて。
安宿の一室で、床を共にした後、意識を失った土方は、夢に囚われたままうんうんと唸る。





「…全く何の夢を見ているんだろうねェ?」
寝汗でくっ付いた前髪を払ってやると額が見え、幾分幼く見えた土方に小さく笑って
その身体を抱き寄せて、再び眠りに付く。
先ほどよりも魘されることのなくなった土方の寝息は規則正しくなり、そのまま朝寝を決め込む。


どんな姿になってもお前の傍にいるよ、そう背中を撫でながら心の中で呟くのだった。

夢オチだったのですが、メイド銀さんはまたどこかで書きたいなァと思ってしまいました。
ホットミルクでnightstoryとか、鈴を鳴らしても3回に一回しか来ないとかいいなァ、と(それメイドじゃない;)