猫は居場所を自分で見つける│原作銀土。いつの間にか万事屋に自分の居場所を作っている。

例えば陽だまりの元だったり、鬚揺らぐ潮風吹く見晴らしのいい丘だったり。
他の猫の縄張りを荒さず騒がず、するりと気に入りの場所を見つけるのが猫だ。




きままに触れて、きままに爪を立てるその姿は、いつの間にかその場所に
居着く。それでも腹が減れば、その場所から動いて獲物をとらなければいけない。

雨が降ればその場所ではない別の場所に行かなくてはならない。




それでも天気が良く、腹も充分に満たされた日は気に入りの場所にいる。
誰に恭順することなく、優美に背を伸ばし、凛と立つ姿がここではすっかりリラックス
したようにゆらゆらと尻尾が揺れる。



その場所は猫が見つけた最も居心地のいい場所。








***









チン、と音が鳴り、通話を断絶するように受話器を置いた銀時は、タバコの煙を燻らし
ソファに座る土方を見た。





「ん、…珈琲でも飲むか?」




「…、あァ。…電話終わったのか?…良かったのか?仕事の依頼じゃなかったのか?」



思考に沈んでいたらしい土方から、矢次に質問され思わず銀時は笑みを零した。
本当に可愛いなぁと凡そ男に向ける言葉ではない言葉が浮かんではきえて行く。口にしたら
途端に掌を返すように逃げていってしまうだろう。





「おー、やったらしつこくってさァ。明後日の午後から仕事頼みたいだってよ」






「…ふーん」






聞いた割りには、関心なさそうにつぶやく土方の唇が一瞬緩んだのを台所へ歩いていきながら気づいた。
今日は休みなのか、突然やってきた土方を招き入れるよりも先に、ずかずか入っていく背中を見て
思わず笑った。始めてきた時は玄関先に入るのも躊躇っていたのに。
銀時はヤカンを火にかけながら、笑いを堪えるのに必死だった。





やがて沸いた湯をコップに注ぎ、土方の所へ灰皿とともに持っていく。

置かれたマグカップ。白い陶器の灰皿に、自分用にチョコレートを持っていくと
灰が載っていた煙草を灰皿に押し付けて、素直にマグカップを受け取る土方の向かいに座った。






「これ、…ここにはなかった筈だよな?」






そういって土方は灰皿を指し示す。それに呆れた風を装うように銀時は続ける。





「お前がいつも携帯灰皿を溢れさせる程いるからさー」




これはお前専用なと言外に告げられたようで、土方は抗議も出来ずに視線を伏せる仕草に
思わず笑みを深めた。






そういえばこのコップも銀時のと似ているが、此間も同じものを出された気がする。

いつの間にかこの場所は。




土方が再び思考に沈んだのに、銀時は唇が緩むのを甘くした珈琲を飲みながら堪えた。






「疲れてんならさァ、…寝てもいいぜ?」





「…違、…う。…疲れてるが、眠たくはねェ」




コクリと喉を鳴らして珈琲を飲む土方に視線を向けつつ、先日座った場所とダブるのを感じた。
そういえばソファに座らせると土方は絶対其処にいるような気がする。

キッチンを眺められ、仕事机に近い位置は。



そしてソファの左側を少し空けて座る意味は。





珈琲を持ったまま土方の横に移動すれば、少し空けられた右側に座って土方を覗き込んだ。





「もっと甘えていいんだぜ?…ここではさ」





そういって土方の膝にのしっと頭を乗せれば、赤くなった顔を隠せず唇を噛む土方が舌打ち後

「お前が甘えてんじゃねェか…」と小声で呟く。
それでもそれをのけようとしない土方の甘さに思わず笑みが毀れてしまう。





***


自分から見つけた居場所に猫はぐっと伸びをして、鼻をひくひくさせて、

陽気な空の下でのんびり昼寝をする。

それは誰も自分を脅かすこともない、信頼の置ける場所だからである。




耳を立てて警戒しないといけない場所では、浅く眠っていても低い体勢をとって
いつでも爪を研ぎ澄ませているのだ。

警戒を無くせば、自分の命がいつ脅かされるかわからないからだ。













猫のような彼を手懐けるように顔を上げてそっと口付けをすれば、赤い顔のまま同じように口付けを返された。


















甘えていいよ。お前が眠り、寛げる居場所になれるのならそれでいい。
猫のように警戒して周りに攻撃的にしか触れない彼だからこそ、
柔らかく絡めとるように。










洗い立てのシーツの中に閉じ込めるようにその甘い束縛は続く。





















Are cat and this man which willful?

猫=土方君の世論のイメージをそのまま持ってきた感じです(笑)
でも土方君よりも銀さんの方が猫っぽいイメージがあるんですけど、気のせいですかね〜。